①PPIの適応があるのは、原則としてピロリ菌がすでにいない胃だと思っている。
②萎縮がOpenだったら、PPIよりH2RAを選ぶ選択肢だってある。NSAIDS潰瘍の予防にPPIが良いというのはわかっているが、萎縮の有無によって母集団を分けなかったStudyにはがっかり。
③萎縮があるのにPPI使ったら、胃酸を止めすぎるので、カルシウムや鉄吸収が悪くなって骨粗鬆症は進むし、胃内で細菌が繁殖してしまってC.difficileなんか検出されるようになってくる。そんな状態に患者さんをしたくない。
③’最近知ったんだけど、脂肪肝の原因には「小腸憩室」がある。これは小腸内で腸内細菌が異常繁殖し、それによって炎症が生じて放出されたサイトカインが・・・小腸などのリンパ球はちょっと変わっていて、そのサイトカインがインスリン抵抗性を惹起する・・・脂肪肝を誘発するんじゃないかと自分は解釈している。となるとなんだ、PPIで胃酸を完璧に止めちまったら、細菌繁殖が小腸で生じ脂肪肝~ひいては動脈硬化が生じてしまう可能性もあるんじゃないか。直接関係ないけど胃潰瘍、HP陽性で心血管イベントが多いのも貧血や痛みによる刺激だけじゃなくサイトカインがらみもあるのだろうと、自分は思ってる。
④胃酸を止めたときの腸管ホルモンの変化は、研究されていない。ガストリンは上昇するが、ガストリンだってtumorgenicに働く場合があるかもしれない。胃底腺ポリープでβカテニン異常があるものなんかどうなの。
⑤だいたい、胸焼け症状って、胃酸だけじゃないだろう?自分が注目しているのは膵液、あとは食道の痙攣だ。(胆汁は注目していない)PPIが膵液分泌も止めるって?じゃあ、膵液止めると影響はどうなの?
⑥これだけたくさん患者さんを診ていながら、PPI長期投与をしている患者さんがそんなに増えない事実。(割と生活指導とか、病態の理解を重視)ていうか、上記を踏まえて、PPIの適正使用とは、をずっと考えているわけだけれど。
⑦pH測定が面倒くさすぎるのは良くない。機器は高くて壊れやすいし、保険点数は安すぎる。これじゃあ適正使用の前に、とりあえずPPIがじゃんじゃん使われちゃう。
⑧内視鏡を見たときに、きれいなべたつき感(慣れないと判定は無理だろうけど自分はなんとなくわかる)があったらそれはpHが相当高いと思う。そういう場合はPPIは良く効いているから、それで症状が取れないときには別の理由を考えるべき。PPIは増量すべきじゃない。硝子状の膜があったりしたら、それは完全に雑菌が繁殖しているから、PPIは減量すべきじゃないかと判断する場合もある。
⑨一方、物理的に逆流がコントロール出来ないECJのSMT手術後とか、強烈なhiatus herniaで、薬物によるコントロールをしようとするのは③の理由で限界があるのではないか。外科的な、あるいは内視鏡的な治療は今後もっと普及すべきなのじゃないか。
⑩一方、きちんとPPIを飲まないと炎症がひどくて、という食道があるのは事実だ。極めて有用な事が理解できるだけに、今の使われ方が残念なだけかも知れない。一種の嫉妬か。
一例一例丁寧に適応を決め、悩みながら量を決めていく自分のスタイルは全く現代にそぐわないことはわかっているけれど、勘で決めているわけでもない。
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