2011/04/27

本当に逆流していると

内視鏡時に、アトロピンを0.5-0.6A静脈注射する事により、唾液分泌を抑制することが出来ます。
また、起きえる迷走神経反射を予防することが出来ます。


そして、この咽頭部のサラサラした液体が、逆流したものだと知ることが出来るのもメリットです。
内視鏡時にアトロピンを使用することによるメリットは良く経験することが出来ます。


本当にこのように逆流していると、なかなかPPI通常量ではコントロール出来ないのも事実です。
この声帯を見て、「右を向いて寝ていませんか?」と私は患者さんに聞きましたがその通りでした。
右の声帯の方が明らかに赤く、結節状にも見えるからです。

右を向いて寝た方が逆流はしにくいと指導されたそうですが、経験上そのような事実はなく、個人によって安楽な姿勢は違います。解剖的にも右を向いたから胃酸が全部幽門に流れる事は保証されません。左を向いたから逆流するものでもないのです。

胃食道接合部の所見(LA grade)とは関係なく、胃酸がどんどん上がってきてしまうわずかな角度の違いなどが患者さんそれぞれにあるように感じます。逆流を防止する上でもっとも効果的なのは身体全体を頭を上に5度程度傾ける事でしょう。

2011/04/25

黄色腫(消化管における)


皮膚に出来る黄色腫ではなく、消化管に出来る黄色腫について述べます。

黄色腫は、上記画像左下に見えるようなちょっとした隆起として内視鏡では認められるものです。バリウムによる胃検診でポリープと勘違いされることもあります。
少し黄色調の顆粒が隆起の内部に見えますが、これはコレステロールが黄色く見えているのです。
黄色腫を指摘されても、「私はコレステロールが高いんですよ」と医師に答えてはいけません。なぜならば皮膚の黄色腫については血中コレステロールと関連があるものがありますが、消化管の黄色腫は関係ないからです。

英語ではxanthomaと書きます。発音は「ザントーマ」という感じです。キサントーマと言うのは英語としては誤読ですが、じゃあいったい何語かと問われると、それは日本語だとしか言えません。日本のお医者さん言葉として「キサントーマ」はよく使われます。明治時代から、外来語を日本語化するときに「x」を「キサ」と呼ばせる例がかなり見られます。(キサンチンなど)私はなんとなく(格好悪い気がして)使っておりません。

この黄色腫は、炎症が起きた際がんばってくださった白血球のみなさんの残骸です。白血球はもともとコレステロールが豊富ですが、胃炎が起きますとたくさんの白血球が粘膜で活動します。それがやがて死んでしまうとマクロファージ(貪食細胞)がお掃除してくれるのですが、コレステロールを貪食したマクロファージが集積した状態がこれです。

黄色腫があればつまり、「そこには炎症があった」と、判断出来るのです。



食道に黄色腫がある場合もあります。


大腸にある場合もあります。

それぞれ、患者さんの病歴を理解しているため、「ああ、あのときに・・」と納得出来る、自分には大変興味深い所見です。

みなさんも、黄色腫を見つけたら「がんばったんだね」と褒めてあげて下さい。

血圧は株と同じように分析する

血圧は、株と同じように考えれば良いです。

始値が起床時、終値が就寝時。

下のグラフで縦の棒状になってるのはローソク足で、

白ローソクは夕方が高いバターン、黒ローソクは朝が高いパターン。

それぞれ高値と安値がある。

赤い線はここでは25日の移動平均で、緑の線は75日の移動平均。


すると例えば赤い線が緑より下がったら、今後血圧が下がるフェーズになるんじゃないかとか。

そういう風に分析できます。

逆に上がるフェーズだったら、お薬を増量しましょうとか、血圧に影響を与える因子はなんだったか考えるとか。

一回だけ高かったら誤発注だとか。要するに機器の故障も考えるとか、応用が利きます。

株がわかってる人は、「ああ、一回だけ高くても心配しないで良いのね」と理解して下さるので助かります。

でも、これは冗談で説明してるだけなので、本当に一日何度も測定しないで下さいよ、測定ばっかりしていると血圧上昇しますよ、と話しています。

血糖も考え方としては同じです。

2011/04/23

薬と胃潰瘍, medication and gastric ulcer

胃潰瘍(いかいよう)はポピュラーな病気ですけれど、初診で話を聞いただけでぱっと胃潰瘍だといつもわかるかというとそうでもありません。
風邪薬や、痛み止めのお薬は、胃の痛みも抑えてしまうので「なんとなく調子が悪い」と訴える方が多いからです。

Gastric ulcer is a common disease. However, diagnosis of gastric ulcer is not always easy because patient doesn't say "I have stomachache" at the initial visit.
Cold medicine and/or medicine for pain (NSAIDs)  cause gastric ulcer, but also reduce the pain of ulcer. Thus patients don't feel abdominal pain and seem to feel only they are just uncomfortable.



画面の真ん中が胃潰瘍です。粘膜が欠損してその下の粘膜下層が露出しています。周りはかなり浮腫んでいます。相当痛そうですが、患者さんの訴えはそうでもありません。

The ulcer at the gastric angle in the middle of the picture above. Submucosal layer is exposed due to the lack of the  mucosa. Edema is in surroundings. It looks painful, but the patient's complaint is not so severe.


胃角より上部の胃はエコーで見るのは難しく、左肋弓下からかなり苦労しながら撮った写真がこれです。
医師には覚えていただきたいのですが、エコーで小弯はこの方向に見えるのが正解だという事です。
潰瘍周囲の浮腫が黒く見え、壁は12mmに肥厚、潰瘍底には泡が付着しているため白く見えるのが特徴です。周囲のリンパ節は見えませんでした。鑑別疾患としては悪性の病気があります。

サプリメントで潰瘍を生じるケースもあります。例えばヒスチジンを含む、あるいは製造過程でヒスチジンが混入してしまうサプリメント、あるいは酸性が強いサプリメント、あるいはカプセルが溶けにくいサプリメントです。

案外患者さんは、「抗生物質は胃を痛める」と誤解されていますが、抗生物質で胃が痛んだという経験はありません。

胃がおかしいなという時には、痛くなくても胃潰瘍である場合があります。また、受診時にはサプリメントを含めたお薬の服用歴はすぐにわかるようにしておきましょう。

By ultrasound, it is difficult to see above the angular region of the stomach. Somehow I capture this picture which show gastric ulcer from the bottom left rib arch. Doctors should remember that the lesser curvature are right position which I see in this direction. Ulcer is characterized by adhering white foam at ulcer base. I did not see the surrounding lymph nodes. There is a differential diagnosis of malignant disease. Ulcers could be caused by some kind of supplements. For example, histidine, supplements lead to histidine contamination during the manufacturing process, a strong acid supplements (like black vinegar) , or supplement in hard capsule.
Some patients have been misunderstood that the antibiotics can hurt stomach, and stomach usually is not damaged with antibiotics. 
When your stomach is rather strange,  it may be ulcers even if your stomach is not painful. Please note that  when you visit your doctor, bring medication history including the supplements to let know soon.


2011/04/21

健康になりたいならこれを食べろ

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患者さんには、リスクとベネフィット(危険性と利益)の話をしています。

「健康のためにこれを食べなさい」という類の話題はテレビで良くやっていますが、頭の良い方は自然に「極論はすべて出鱈目だ」というのがわかっています。

「健康のためにこれを食べなさい」という話題はあまりにも露骨で出鱈目なのがすぐにわかってしまうので、「○○は有用だ」とか「○○は健康に良い」とか言う言い方をします。少し控えめですね。

そういう出鱈目には品がありません。私はブログに広告を入れていませんが、それも当然でこの右側に、「ラクトフェリンがどうのこうの」とか出てしまっては、格調もへったくれもありません。

でもだいたい、生きて行くのに食を意識するということ事態がすでに不健康な気もします。我々は確かに食べて生きていますが、それで何かの価値を得るのか。(無論それをサービスや一次産業として生業にしている方は別として)なぜ一生懸命にならねばならないのか。

よくある議論としては、自然派思考があります。自然は安全なのか。植物だって自分が食べられてしまっては生きていけませんから、様々な防御を行います。それは植物毒だったりしますから、そういうものを食べるとまずいことも起きますね。自然物だと良く、人工物だと悪いという考えそのものは単純すぎて、私は納得が出来ませんしそのような考えを持っている方々とも意思疎通は比較的困難です。

ところで人間がどのように生き残ってきたかを考えますと、やはり食に関してはリスクを回避してきたのでしょう。
ユーカリしか食べないコアラは彼らなりの進化をしたのでしょうが、過酷な自然で生き残ってきた人類は雑食という道を選んだ。その理由がリスクの分散だとしますと、結局我々が生き残っていくために知っておかねばならないことはこうなります。

①どのような食品にも、リスクとベネフィットがあります。
②売りたい方は、単一商品が売れるほうが儲けられるのでベネフィットを強調します。(テレビなどマスコミ)
(あるいは邪魔したい場合はリスクばかりを強調します)
③しかし、②に従ってしまうと消費者はリスクも背負うことになります。
④賢い消費者はリスクを分散するために、色々な食品を取ればよろしいです。つまり、健康に良い食品という考えは捨てて、様々な食品を取った方が良いという事です。

さて、食品の場合はこうなのです。
ではお薬の場合はどうでしょう。私は5種類以上のお薬を同時に処方するときに、その相互作用を考えるのがかなり面倒なのであまり好きではありません。したがって処方に関してはシンプル・イズ・ベストという理念を持ってはいるのですが・・・たまに私のこういう考えの斜め上を行ってしまう患者さんも当然いらっしゃいます。

ある患者さんは30種類以上のサプリメントを服用していました。毎月30万円を軽く超える。
相互作用を考えますとあまりにも複雑すぎて皆目わかりません・・・「はっ!これはこれでリスクを分散しているのか?」
と一瞬でも思ってしまった私は負けたと言えるでしょう。

ドクターショッピングもリスク分散か?とか考え始めると、もはや敗色濃厚になってきましたので今日の議論は終了にします。

2011/04/19

他レセコンからダイナミクスへの乗り換え

友人が電子カルテダイナミクスを使うようになりましたので、他社製レセコンデータの変換をしに出かけてきました。
他社製レセコンからは色々な方法でデータ抽出が出来ます。今回は、患者へのダイレクトメールを出すような機能などからつついて抽出しています。

まず<患者マスター>テーブルに、
ID+枝番号(0-9)を割り振り「カルテ番号」とします。そして、これが重複のないようにデータのチェックを行います。すべてのレセコンにIDの重複がないとは限りません。今回は一種の、「前のレセコンのバグ取り作業」に一番時間がかかりました。
患者氏名は全角の漢字、フリガナは半角のカタカナにします。Strconv関数を使わねばならない場合もあります。
次に生年月日は、DateSerial関数を使って文字列をまず日時に変換する必要がある場合があります。
ダイナミクスでは、Format([Date], "ggg")で年号を、以下、"e"、"m"、"d"の各パラメーターを用いて変換します。
住所は分割せねばならない場合があります。数字があるかどうかを調べて、それ以後を切り取る関数を作りましたが、それは採用をやめました。郵便番号から逆引きして先頭一致で住所1を抽出、それ以下を住所2としました。
データの変換においては、空白データが出現してきますが、それらはNullにしておかねばなりません。""という長さ0の文字列と、NullとはACCESSでは区別され、””という文字列はデータベース上で許可せねばエラーが起きます。
ダイナミクスでは長さ0の文字列を多くの場合許可していませんから、空白データの部分にはNullを代入する工夫が必要です。

次に<患者保険マスター>です。
これは保険者番号は8桁とするのがコツで、Format([String], "@@@@@@@@")という書式で表現します。記号・番号は多くの場合そのままで大丈夫です。
本人・家族および国保・社保あるいは、高齢者1割、3割でそれぞれ0,2,6,8などと区分していく部分は保険の知識が必須でしょう。
これがわからない人は業者さんに頼むのが無難です。
第一公費、第二公費、保険での負担割合、公費を含めた負担割合を入力するクエリを工夫しつつ作ります。パズルです。

最後に<患者包括マスター>です。
これは上記2つと整合性をとるために取り敢えずはIDをきちんと入れるクエリを作ります。

すべてを「追加」クエリで書き込み、そして「おそうじ」機能でエラーチェックを行いましょう。
エラーが出なくなるまで手修正を行って終了です。

今回の作業時間は構想に何日か、実働3時間程度でした。



病名の移行を行います。

病名の場合、平成を"4"に変換する事、継続、中止、治癒などを上手く割り振る工夫をして、カルテ番号に紐付けをして追加クエリで書き込みます。

次に、病名と病名コードのリレーションを組んで、病名コードを書き込みます。足りない病名コードを補いつつ、大体8割ぐらいがコード化出来るようにしましょう。

以上で病名は完了です。実働1時間程度でした。

もとの病名を∑ボタンを利用したクエリを用い、Countで並べかえを行うと頻出病名がわかり便利です。



最後にDo処方が出来るように準備出来れば完璧です。

ここはまだ実装できていませんので次の機会に。

2011/04/16

やせた人は、油を摂取すれば血中コレステロールが下がる件

やせた人は、腸肝循環内のコレステロールプールが減少する。

通常、血中コレステロールプールと、腸肝循環内プールの比率は3:1くらいだとの事。


Cholesterol Metabolism in Anorexia Nervosa and Hypercholesterolemia
PAUL J. NESTEL
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 38, No. 2 325-328


思春期やせ症ほどではないにせよ、やせた人は油を摂取しないため胆汁が産生されない。したがってこの比率が3.5:0.5程度になっている可能性がある。

やせた人の血中コレステロールが高いのはしたがって当然である。

この人たちに、アーモンドやオリーブオイルなどの脂質を摂取していただくと、

胆汁がより多く産生されるため腸肝循環内のコレステロールプールは正常化する。

(そういう論文は「アーモンドの効用」などとして結構発表されている)

やせた人に、「コレステロール制限」なんて指導するのはナンセンスである。

むしろ食べさせて評価する事の方が価値がある。

ゼチーアはしたがって、腸肝循環内プールが少ないと予測される人には効果はないと考えられるから、適応をよくよく考えるべきだ。

また、油分の摂取は、ダイエット中の胆石形成を予防してくれるという側面もあるし、ダイエット中の便秘を予防できるという別の効用もある。

2011/04/09

消化剤を使い分けよう

消化剤はこう選びます。
1)味・形にこだわります。患者さんが好むものを探します。
2)成分にこだわります。目的をしっかりと見据えて。
3)適正pHにこだわります。添付文書を細かく見ましょう。

苦労してまとめたのはこれ。間違ってるかも知れませんが、知りませんよ。

商品名
メーカー
ビオヂアスターゼ1000
ビオヂアスターゼ2000
ジアスターゼ
タカジアスターゼ
ヨウラーゼFカプセル
陽進堂
 
 
 
フェルターゼカプセル
佐藤薬品
 
 
 
フェンラーゼカプセル
日医工
 
 
 
アリーゼNカプセル
前田薬品
 
 
 
アリーゼS
前田薬品
 
 
 
サニアーゼ
イセイ
 
 
 
ヨウリターゼA
陽進堂
 
 
 
タンチバン錠
太陽薬品
 
 
 
ボルトミーC
全星薬品
 
 
 
マックダーゼ錠S
沢井製薬
 
 
 
セブンイー・Pカプセル
科研製薬
 
 
 
タンチバンSカプセル
沢井製薬
 
 
 
エンテラーゼ錠
前田薬品
 
 
 
オーネスST
鶴原製薬
 
 
 
オーネスSZカプセル
鶴原製薬
 
 
 
ケイラーゼAカプセル
三恵薬品
 
 
 
ヨウラーゼSカプセル
陽進堂
 
 
 
オーネスSPカプセル
鶴原製薬
 
 
 
サニアーゼPカプセル
イセイ
 
 
 
タカプレックス錠
第一三共
 
 
 
SM
第一三共
 
 
 
タフマックEカプセル
小野薬品
 
 
 







膵臓性消化酵素
ニューラーゼ
アミロリシン
セルラーゼ
プロザイム
ヨウラーゼFカプセル
 
 
 
フェルターゼカプセル
 
 
フェンラーゼカプセル
 
 
アリーゼNカプセル
 
 
 
アリーゼS
 
 
 
 
サニアーゼ
 
 
 
 
ヨウリターゼA
 
 
タンチバン錠
 
 
ボルトミーC
 
 
マックダーゼ錠S
 
 
セブンイー・Pカプセル
 
 
タンチバンSカプセル
 
 
エンテラーゼ錠
 
オーネスST
 
オーネスSZカプセル
 
ケイラーゼAカプセル
 
ヨウラーゼSカプセル
 
オーネスSPカプセル
 
 
 
サニアーゼPカプセル
 
 
 
タカプレックス錠
 
 
 
 
 
SM
 
 
 
 
 
タフマックEカプセル
 
 
 
 
 







サンプローゼ
リパーゼ
生薬
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
セルロシン・パンクレアチン・オノプローゼ
ヨウラーゼFカプセル
 
 
 
 
フェルターゼカプセル
 
 
 
 
フェンラーゼカプセル
 
 
 
 
アリーゼNカプセル
 
 
 
 
 
アリーゼS
 
 
 
 
サニアーゼ
 
 
 
 
ヨウリターゼA
 
 
 
 
 
タンチバン錠
 
 
 
 
 
ボルトミーC
 
 
 
 
 
マックダーゼ錠S
 
 
 
 
 
セブンイー・Pカプセル
 
 
 
 
 
タンチバンSカプセル
 
 
 
 
 
エンテラーゼ錠
 
 
 
 
 
オーネスST
 
 
 
 
 
オーネスSZカプセル
 
 
 
 
 
ケイラーゼAカプセル
 
 
 
 
 
ヨウラーゼSカプセル
 
 
 
 
 
オーネスSPカプセル
 
 
 
 
サニアーゼPカプセル
 
 
 
 
タカプレックス錠
 
 
 
SM
 
 
タフマックEカプセル
 
 
 
 


さあ、あなたにあった消化剤はどれ?