ピロリ菌の証明方法には「UBT」「迅速ウレアーゼ試験」「便中抗原」「組織検査」「培養」「抗体」などがある。通常内視鏡をしているとこれらの検査をする前に「ピロリ菌+」「ピロリ菌-」は高精度で予測がつくけれど、肉眼所見と結果とが矛盾することがある。例えば鳥肌胃炎があるのにピロリ菌が証明できない、MALTリンパ腫があるのにピロリ菌が証明できない、などである。
検査の偽陰性も当然考えられるがしつこく検査をしてもなおピロリが証明できず、しかし組織検査でギムザ染色をしてらせん菌が証明されると、「ヘリコバクター・ピロリ以外のヘリコバクター属の細菌がいるのではないか?」と疑うこととなる。
東海大学の高木敦司教授にご相談したところそれは H. suis ではないか、と教えていただいた。
下記はJournal of Infection and Chemotherapy September 2014Volume 20, Issue 9, Pages 517–526 に掲載されている、胃に感染するヘリコバクター属をまとめた表である。
ヘリコバクター属は哺乳類の消化管を好むようである。人間とイルカとは2500万年以上前に分かれているはずで、その当時かららせん菌は哺乳類の消化管に生息していたと推測されるがそれほど驚くべきことではないと思う。
したがってイヌにはイヌの中で進化した、ネコにはネコの中で進化した独自のヘリコバクターがいて然るべきであり実際そうである。
ところがこれらは人畜共通感染症としてふるまうのが困った点であり、ブタを宿主とする H. suis もそうである。ブタと言えば最近生食が正式に禁止されたけれども、それ以前から種々の感染症の宿主として医療従事者は認識しているはずである。……例えばトキソプラズマやE型肝炎だけれども、これには当然H. suis も含まれるわけだから、そういう目で内視鏡を見なければならぬ、という思いを新たにした次第。
実際経験を積んではじめて知識が身につくようではまだまだだなと痛感しております。
したがってイヌにはイヌの中で進化した、ネコにはネコの中で進化した独自のヘリコバクターがいて然るべきであり実際そうである。
ところがこれらは人畜共通感染症としてふるまうのが困った点であり、ブタを宿主とする H. suis もそうである。ブタと言えば最近生食が正式に禁止されたけれども、それ以前から種々の感染症の宿主として医療従事者は認識しているはずである。……例えばトキソプラズマやE型肝炎だけれども、これには当然H. suis も含まれるわけだから、そういう目で内視鏡を見なければならぬ、という思いを新たにした次第。
実際経験を積んではじめて知識が身につくようではまだまだだなと痛感しております。