当院の下部内視鏡検査は、術前評価、前処置、検査そのものの技術、診断、回復、説明、すべてにおいて群を抜いて優秀であると自負していますが(ここまでは上部内視鏡検査のコピペ)、時間がないので自ら積極的に検査をするということはありません。しかし上手な先生は沢山知っていますから積極的に検査を勧めている立場です。
したがってここでは「下部内視鏡検査を受けて下さい」という内容を書きますが、3行でまとめると以下の通りです。
①下部内視鏡検査は、高齢者になる前に検査を受けると大腸がん発症の予防になります。
②下剤の飲み方は工夫できます。辛い辛いと言いながら飲む方はコミュニケーション不足かもしれません。
③上手な先生に受ければ痛くありません。
大腸内視鏡検査は、検査中にポリープがあればそれを生検したり切除したりします。それにより最も多く患者さんの命を奪う癌の一つである大腸癌の芽が治療され、将来の発症が予防されてしまうという魔法のような検査です。それが最も効果的なのは50−69歳の年齢ではないかと思うので、受けたことがない方は55歳ぐらいまでに受けて欲しいと思います。若年齢化が問題になっているので、40歳、50歳、60歳で内視鏡を受けるような時代になるのかもしれません。
CTコロノグラフィーも良い検査ですが、被曝の問題があるのでスクリーニング検査としては40歳の方にはまだ早いかもしれません。50歳以上ではほぼ同等、と思います。
カプセル内視鏡は寿命の伸びに内視鏡ほど貢献しない可能性があります。小さいポリープを取らないからです。小さいポリープなのにhigh grade adenomaという将来癌になりそうなのがありますが、カプセルではさすがに検出は無理です。3mmのIIa+depなんて見つけられません。
いやいや受ければこんなに嫌な検査もなく、しかし本当に幸せに受ける人も沢山いる、という不思議な検査です。
アメリカで医者をしていたときに内視鏡室で患者さんが明るい顔で待っている人が多いことが新鮮でした。保険の関係で受診が簡単ではないので、内視鏡室までたどり着いた事はすごく嬉しいのでしょう。日本は検診が医療の入り口になることが多い上簡単に受診できるので、症状がないのにどうして、という感情が邪魔しているようです。不満顔で内視鏡を受ける方が多いのとても残念です。
もっとアクティブに医療を受けるべきです。下剤も工夫されている、検査は痛くないことがほとんどになっている、色々なネガティブな情報は全部かなぐり捨てて医師に命を預けてみるべき、と思います。
大腸検査は上手な先生がたくさんおられますから、「無痛」x「内視鏡」x「あなたの住所」で検索すると良いのではないでしょうか。消化器内視鏡専門医であったり、大腸肛門病学会専門医であったりすればなおよろしいです。神奈川県には神奈川県だけの裏技があります。かながわ医療情報検索サービスで調べるのです。多くの先生が正直な情報をだしています。繁盛している先生は広告を出しませんから、地道に調べることがコツです。口コミやSEOは全くあてにならないと思います。
医療は情報商材のようなものとは違います。
「本当に良いものは広告しない、言いふらさない」ということをわきまえてください。
内視鏡は「師匠-弟子」関係がかなりはっきりしている分野ですから、それを調べることも上手な先生を調べるコツです。学会発表で共同で発表している人のうち、2番目、最後、最後から2番目の先生、が師匠である可能性は高いです。それで大体どういう先生かは予測が出来るのです。ホームページで「なになに先生に習いました」などと書いてあるだけで、論文にその痕跡がない場合、心の師匠だと思うと良いです。
大腸カメラって書く先生がいます。そんなものは歴史上存在しません。ホームページにそう書いている先生は性格が大雑把だと思いますが、それはそれで長所であるかもしれません。
大腸内視鏡検査はリソースを大量に投入しないといけない検査です。より多くの検査機械、処置器具、トレーニングされた職員、治療の場合にはさらに沢山の。内視鏡で食っていこうと思ったら相当多数の患者さんを診たほうが良いことになります。広告を出している医者は逆にやぶ医者なんじゃないか、と思う患者さんがいらっしゃいますがそんな事はなく、ハイボリュームセンター化すると沢山の患者さんを診ないと赤字になるから広告を出したりテレビに出たりする、というだけの事です。やぶなはずがありません。心配な方は専門医名簿を検索すればよろしい。
二酸化炭素内視鏡は当院では20年以上前、日本で最もはやく導入しましたけれど、今は普及していますからどこでも受けられます。心配しないで良いです。地方では二酸化炭素の導入が困難なので、無理な場合もあります。都市と地方には差があります。それは我慢して下さい。
良い先生を見つける指標としては他に「結腸憩室症の診断率」とか「LST(側方発育型腫瘍)の発見率」が重要じゃないかと思っております。そういう情報は公開されているわけがありませんが、とりあえずネタとして書きました。
最初に三行でまとめてありますが、しつこくまとめるとこうなります。
1)あらゆる検査の中で、「検査を受けることにより発癌リスクが減少する」唯一の検査が大腸内視鏡です。なので50歳までに一度は是非受けてほしいです。
2)リスクの全くない検査ではないけれど、高いモチベーションを持つととても楽です。
3)上手な先生は自分で探せます。あるいは主治医の先生に相談しましょう。上手な先生のうち、インターネットに広告を出していない先生は、どうして広告を出していないのか考えましょう。患者さんを増やしたくないのです。そして先生の大変さを理解しましょう。
4)全く症状がなくて便潜血検査も引っかかったことがない、年齢も50歳以下で若い。受けてみたいけど保険は悪用したくないしどうしよう、という方がおられるかもしれません。そういう場合には当院では自費で検査をしています。もともと海外の方はそうしていますがそれでもはるかに安いらしいです。費用は当院では実費を倍にして5万円ぐらいかかっている人がほとんどです。自費の場合の料金もホームページでちゃんと書いている医療機関がありますので参考にしてください。
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