同じ電子カルテダイナミクスのユーザーであるというご縁で、横浜市瀬谷区のめぐみ在宅クリニック院長小澤竹俊先生のご講演を平成21年9月26日に拝聴することが出来、それ以来、余命が長くない患者さんとの会話に先生から教えていただいた三本柱の話題が自然と出るようになりました。
普段はこのブログにはアフィリエイトは貼りませんが、小澤先生の著書をご紹介します。
「医療者のための実践スピリチュアルケアー苦しむ患者さんから逃げない!」
この本の中に、三つの柱で支えられた平面モデル、というお話が出てきます。
人間の幸福は、
時間存在
自立存在
関係存在
という三つの柱で支えられているテーブルのようなものである、という教えです。
本では自立存在と関係存在の順番が逆なのですが、患者さんと家族に話す時には上記の順番でお話をしています。
色々な会話をしながら、以下のような主旨の事を伝えるようにしています。
幸せのテーブルは三つの柱で支えられると安定しているといいます。
その一つは自分に未来があることです。(時間存在のこと)
もう一つは自分の未来を自分で決められることです。(自立存在のこと)
あと一つは周囲からの支えがあることです。(関係存在のこと)
でも癌という病気で余命が限られていますよ、とわかった場合、自分の未来が不安定になりますね。現在はあなたは幸せだという気分ではないかもしれないけれど、それは自分の未来がが見えないから、というのも理由の一つですよね。
最近の医者は自分を含めてほぼ例外なく、癌の告知をしますよね。それは自分で自分の未来を決めるという事が大変重要だからなんですね。医者はあなたが意思決定できるように情報を正しくわかりやすく伝えようとします。ウソは必ずボロが出ますが、真実をあなたに話せば何もほころびがないのですね。それは我々との信頼関係にも関わる部分ですからすごく重要な事だと思っています。
そしてあなたにはご家族がついていて、私ども医療者も常に寄り添っているのだ、という事も大切なのですね。あなたは一人ではなくて、あなたも誰かの支えになっているし、我々もあなたの傍についていようと思うわけでして、そういう周囲との関係を常に感じていて欲しい、と思っています。
今回のように未来が見えなくて不安定になってしまったときにはどうすれば良いのでしょう。
周囲からの支えを太く太くすればよい。柱が三本でなくても、柱が太くなれば幸せのテーブルは安定するのですよ。私もあなたの支えになりたいと思っています。一緒に生きていきましょうね。
誰かが病気だ、実際に思わしくない、という状況で、
「きっとなんでもないよ」「あなたは大丈夫だよ」「たいしたことないよ」
という人が昔の日本では大半でした。これは不安定になっている時間存在の柱を一生懸命太くしようとする発言で、悪くはない。悪くはないが、やはりまだ不安定な印象を持ちます。
しかし現在では、
「いつも見守っていますよ」「一緒にいますよ」
と声をかけてくれる人が多くなり、変わったなあと思います。