横浜市立大学第三内科に私が入局した当時、病棟には神経性食思不振症(いわゆる拒食症)の若い女性が何人も入院しており、彼女らの内分泌的異常(たとえば成長ホルモンが高いかどうか)を調べたりするのも我々の仕事でした。
拒食症のみなさんの血液中の総コレステロールが、食事を食べていないにもかかわらず高くなるのは常識であったと記憶しています。
Cholesterol Metabolism in Anorexia Nervosa and Hypercholesterolemia
PAUL J. NESTEL
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 38, No. 2 325-328
これによれば、
食べない→胆汁出ない→胆汁酸出ない→血液中のコレステロール上昇
というストーリーです。
これはわかりやすい。
食べない人がコレステロール値が高い時に、
「卵を食べるな」とはたぶん言ってはいけない。
胆汁が良く出るように、
「卵を食べろ」が正解なんです。たぶん
脂質代謝なんて、わかってないこと、多いんじゃ無かろうか。
追記:
http://blog.ukawaiin.com/2011/04/blog-post_16.html
追記:
http://blog.ukawaiin.com/2011/04/blog-post_16.html
おお、そうですか。
返信削除私は、拒食症によくみられる甲状腺ホルモン低下による、高コレステロール血症だと理解してました。
みみさんこんにちは
返信削除続発性甲状腺機能低下の時に上昇するコレステロールが、食べていないときいったいどこからやってくるの?という疑問に対してこの仮説はきれいな説明を与えてくれます。胆汁酸がでなければ、肝臓は飢餓状態であってもいくらでもコレステロールを産生できるでしょう。つまり、末梢での消費が減るだけでなく、今回述べたような体内の平衡の変化は重要であろうと思います。私が今回言いたい趣旨は、「コレステロールの体内分布において、胆汁酸~小腸~門脈経路を忘れるべからず」という事なのです。
良く、やせている人でコレステロールが高い人がおりますが、この人々に、卵を食べるように指導をした方が、実は血中コレステロールが下がるのではないか、という事を言いたいのです。
にゃるほど!
返信削除甲状腺機能低下のある高コレステロールには、本来のケースと逆であるべきだってことね。
あるおばあさん(70代)は身長140センチ、体重30キロです。何年もの間、パンの耳と芋などと週1程度のごちそうで生き延びてきたようです。最近健康診断を受けたところ、極度の低栄養状態なのに「高コレステロール血症」と聞き、え?どうしてと思ったのですが、理由がわかりました。背も曲がり、歯は4本しか残っていません。摂食障害というと若い方だけの問題かと思っていましたが、お年寄りも気をつけたいですね。
返信削除匿名さま
返信削除BMI20以下の高コレステロール血症に関しては、
腸肝循環におけるコレステロールプールの減少を考慮せずにバカみたいにコレステロールの摂取を制限せよとか、薬を投与するという事は避けた方が良いという事を暗喩したエントリーです。
お気づき下さり、ありがとうございます。
最近の健康診断検査で総コレステロールが高く、一年前くらいの検査も高かったので、心配になってきて検索したところこちらのブログがヒットしました。
返信削除当方30歳女性、数年前に拒食症を患い3年ほど闘病し現在は基準値まで体重が戻っています。
太ってないのにどうして、と不安でしたが、こちらの記事を読み少し安心しました。
匿名様、そうなんです。あまり気にしなくて良いことがお分かりいただけますと幸いです。
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