2026/02/16

甘味技術史:欲望が試す生命の限界


人間はもちろん、多くの生物は甘味に抗えないことに異論を持つ人は多くないでしょう。

はたして海に住む生物もそうなのか、は興味ありますが。早速話が逸れてしまいそうになりましたが、その嗜好はおそらくすでに進化的利点を越えたのだと思います。結果として、肥満や代謝疾患という代償が静かに広がり、人類の存続には警告灯が灯っています。

本稿には誰かを断罪する意図はありません。

ただ、“果糖ぶどう糖液糖”誕生以降の甘味技術をたどります。これが歴史の転換点だ、と信じるからです。

孔子の「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」を胸に、五幕のドラマとして淡々と描き出す調査の記録――の脚本を書こうと試みました。

2026/02/01

垂直方向の冒険者たち

高層ビル登頂(ビルダリング)の歴史、技術、および社会的意義

「馬鹿と煙は高いところへ上る」とは江戸時代から使われている言葉らしいですが、欧米でも同じ頃から、建築物があればどうしても登りたくなる一群がいたようです。

「ビルダリング(buildering)」という用語があります。人工構造物の登攀行為を指す言葉として、19世紀末から20世紀初頭にかけて確立されました。ケンブリッジ大学の建物を登ったようですね。

この言葉は「建物(building)」と、岩場での低高度登攀を指す「ボルダリング(bouldering)」を組み合わせた「かばん語」であり、元々は伝統的なアルピニズムの精神を都市という人工の山岳へと転置させたものでした。