東洋経済からの引用だが、これはCOVID-19の感染者の年齢分布である。
これを見て、10代以下は感染しにくいのだ、と思う人々はたぶん数字に慣れていない人々かもしれない。このグラフから、どのような事を考えるかというと、
①10代以下はCOVID-19としての症状が出にくいのでPCR対象にはなりにくい。
②10代以下には感染しにくい。
③接触が限られている老人と同様に10代以下は学校の閉鎖によって接触が制限されている。
というような事を考えるが、ではインフルエンザではどういう年齢分布になるかを参考にしてみたい。秦野伊勢原医師会における、医療機関に受診したインフルエンザ患者数の年齢分布の表を作ってみた。平成30~平成31年シーズンのものである。(子供は医療機関に親が受診させるというバイアスがかかる、という目で見て欲しい)
では10代には本当に感染しにくいのかを考えると、良いサンプルがあることに気づいた。ダイヤモンド・プリンセスである。全員ではないが多くの乗客が濃厚接触者としてPCRを受けていて参考になるだろう。
という国立感染症研究所からの報告から各年代の感染率をグラフにしてみた。
10代は23名しか乗船しておらず、誤差が大きくなるのだが、うち5名が感染しておりそれなりのPCR陽性率であることがわかる。
ここからわかることは、上記の②は否定的であり、10代は決して感染しにくいわけではなく、PCRで陽性にもなる、感染力のある感染者になり得る、という事実だ。
以上より、学校を閉鎖したことは見えないクラスター(症状が出ないので、発覚しにくい)の発生を未然に抑え込んでいた可能性がある。可能性の一つでしかないが。
中国は休校がはやく、日本と韓国は2月中には学校を閉鎖。感染がそれほど広がらなかったベトナムは2月14日時点ですでに休校を決めている。ドイツはクラスターが発生すると街レベルでロックダウンを行っていたようだ。米国は2007年にNPI(nonpharmaceutical interventions) を策定し、休校は薬剤ワクチン以外で出来るパンデミック対策の有効な手段としていた。
https://stacks.cdc.gov/view/cdc/11425
休校もロックダウンに先立って行われているようだ。
ソーシャルディスタンスを重視した対策の概要については日本語で解説したものを見つけたのでこちらにURLを貼る。
パンデミックを防ぐのに人と人の接触を減らす「非医薬品介入」はどの程度効果があるのか? - GIGAZINE
休校の延期が徐々に決まりつつあるが、議論の内容をサマライズしてくれる能力がマスコミに期待できない(申し訳ないが、全く期待していない)以上、時間がそれほどない自分には内容の詳細を知ることは難しい。こどもの成長には物理的接触が極めて重要であるのにも関わらず、これほどの長期間、活動が制限されてしまう事は心配だ。
米国の話だが、ごく少人数ならばクラスターが発生しても追跡がしやすく軽症で済む可能性が高いという理由だろうか、大学生と子どもたちをマッチングしてシッターとして活動してもらうというような試みをハーバード大学のサイトで見たし、ZOOMなどのデバイスでやはり高校生と小学生を結びつける試みがあるとも聞く。昔のボーイスカウトよろしく、集まれどうぶつの森をサバイバル感覚にして少人数でお姉さん、お兄さんたちと子供がチャットしながらゲームで問題解決をしていくような未来がふと思い浮かんだ。困難は発明を増やすそうで、スペイン風邪のときに多くの特許申請があったという記事を読んだ。人々の知恵に希望を持っている。
話がそれてしまったが、数字を見たとき、それで結論がつけられる事はとても珍しく、むしろモヤモヤした状態の中で最適解を探していく事が連続する。数字は事実をあらわすのだ!と簡単に言うなかれ。(ファクト!とか言ってる人は幸せでいいよなあ)それが自分の言いたいことだ。