2014/01/05

加速度と品

動きの中で、「加速度」をもっとも意識すべきだと思います。
高校で微積分を習うのは大切なことで、ことに微分は必修となっていると思うけれどこれは動きの速度を微分して考えるということを常に考えることが非常に生活に役立つに他ならないから、と考えています。

最初に気付いたのは、バットやラケットをスイングするときに、私が非力にもかかわらず非常に速いトップスピードを出すことが出来たからです。図に示します。


力のある人は初速が速いのはいうまでもないことですが、やや初速が遅くても最後まで加速してやれば最終的なスイングスピードは同等にできる。ことにラケットやクラブなどの道具を使う場合には、手で投げることに比べるとはるかにその力の差を克服しやすいということです。

実際にはこのように加速するのは不可能ですけれど、最後まで加速し続けるという意識は常に持つ。逆に初速は速くする必要がないということ。

このような意識は、運動時に故障を避けるためにも重要です。腱への負荷は加速度が重要だからです。加速度を最小にしつつ、最大の効果が得られるように運動をするのが故障の少ない方法だ、と考えて今まで生きてきました。

これは「止まる」「着地する」動作の時にも重要です。


さきほど同様、実測ではないグラフで恐縮ですけれど、例えばジャンプして着地するときは、マイナス加速度は一定ではなくて徐々に小さくするような意識を持ったほうが良いだろうということです。
低いところから落ちて骨折する子がいますが、これは筋肉をうまく使えなくて衝撃が直接骨に伝わることも一因としてあるだろうと思います。

水のように抵抗が大きな場所では加速度は小さくなるので故障はしにくくなると思います。

こういう加速度の意識は、茶道ですとか、テーブルマナーですとか、普段の生活でも意識するのが良いだろうと考え生活しています。加速度はたてる音の大きさや、動作ふるまいの優雅さとも関連するからです。

「鵜川先生は気配がないね」とよく言われますが、動作音が少ないからだろうと思います。キーボードをたたく音も小さいです。物もめったに壊しません。精密機械や磁器などの取り扱いには加速度はきわめて大切だからです。

さらに呼吸などにも加速度の考え方は取り入れています。喘息などの時には胸腔内を極端に陽圧にすることはかえって起動を狭窄させるので避けておきたいのです。この時胸腔内圧と関連するのが呼気の加速度です。

品がいいなあ、と思う人を見ると必ずその加速度に注目しています。動作だけでなく、話し方などすべてにおいて、加速度の変化がどうなっているのか、を観察するのです。もちろん書く文章にも加速度があります。丁寧なだけでは品が良い、とは言えないと私は思います。

というような観察を30年ほど続けております。

高校の勉強がいかに大切か、ということを書きました。すべての教科が今の生活に生きている、と思っています。

6 件のコメント:

  1. ちょっと意識してみます。

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    1. コーヒー淹れるときもすごく大切じゃないかと思っているので是非に。

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  2. 話し方の加速度は
    どのポイントを見られているのかが興味しんしんです。

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    1. brokedownandbustedさまの話し方は、間の取り方がとても魅力的でありんす。音は加速度と言っても、強弱、高低、スピードなど因子が非常に多くて、きっと指揮者の耳にはその分解能があるのだろうなーとうらやましく思っております。

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  3. お返事ありがとうございます。話しがそれますが
    今月の日経新聞 連載「私の履歴書」は指揮者の小澤征爾さんです。
    非常に興味深い生い立ちで、次第に音楽に向かうところが
    始まったところであります。

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