2011/01/15

電子カルテはこうあるべき、という使い方。

電子カルテを横断的に検索し、まるで集合知のプールであるかのように使うのが理想でしょう。

そういう意味で、大手メーカーが病院に提供している電子カルテは最悪と言えます。
あれは、本当の電子カルテじゃない。

私がインテルかグーグルのプロジェクトに入っていたら、
1)電子カルテをクロールするエンジン
2)誤記や曖昧表記を見つけ出し訂正するエンジン
3)電子カルテとは別の集合知インデックス
4)名寄せだけでなく、親族寄せとでも言うべき遺伝検索エンジン
などを実装しておいて、四六時中サーバーを働かせます。

今日はひどい咳が止まらず、「涙が出る」という患者さんが来院されました。
うちは胃腸科なのだが?という私の問いはさておき、そういうときには検索が役立ちます。

症状としては百日咳?というような印象でした。
流涙x咳でネット検索すると、RSウイルス感染症だとか、百日咳が検索されました。
一方で電子カルテダイナミクス内で「流涙」で検索するとゼロでしたが、
「涙」で1年間検索したところ8件あり、そのうち一件は
抗がん剤のTS-1を使ったところ涙が止まらなくなったという症例でした。
あとは花粉症だとか色々なのですけれど。
TS-1の事はすっかり忘れていたので、これでひとつ勉強になりました。
こんな地味な機能でも実際の診療ではずいぶんと役立ちます。

10歳の子供が内視鏡を受けるときに、どのくらいの鎮静剤を使うべきなのか。
私はせいぜい1万人の患者さんしか内視鏡をしていませんので10歳というとほとんど経験がありません。が、院長(父)は10万人近くしているのじゃないかと思いますので過去の記録を検索します。院長が偉いのは使った鎮静剤の量とその効果をデータベース化していることで、何歳の、性別はこれこれの人々はだいたいこのぐらいの量を使うと上手く行くというのがわかります。(効果を数値化しているのが非凡です)私が内視鏡をはじめた頃はそのデータを頼りに鎮静の量を決めていました。

むろんデータを扱うにはスキルが必要で、誰もが出来る訳ではないのですが、安全に医療を行うために確実に電子カルテは役立っているという一例です。

電子カルテのメリットはいくつもあるでしょうけれど、医師の職能を向上させる、医療の安全を確保するというような使い方がもっと出来るはずだと思います。幸い、電子カルテダイナミクスを使っている先生方のコミュニティにはそのような達人が多くおられ、たいへん刺激になっています。

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