2008/04/04

ITを駆使するが、ITには決して依存しない医療

ダイナミクスは、レセコンとしても電子カルテとしてもはるかにライバルを凌駕しています。

レセコンについては、面倒な公費への対応が迅速であることや、計算の正確さなど、挙げれば枚挙に暇がありません。

電子カルテはどうでしょう。患者さんにとって最も重要な情報はなんでしょう。
それはテキスト形式のデータなのです。

私と電子カルテ、オーダリングシステムの関わりは案外古く、大学院の頃には大学の情報委員会の末席に居りましたし、学会でも情報委員会の幹事を拝命していました。そして以前から常々「災害時に使えない電子カルテは電子カルテとは呼べない」と主張し、全く無視されてきました。若造ですから無視されても良いのですが、失望するのに時間はかかりませんでした。災害時には、様々な医療のリソースが不足します。色々な医療器具などの在庫、あるいは人材を必要な場所に、必要な時間にデリバリーしなくてはいけません。こういうときこそ、ITが活用されるべきなのです。

災害時にITが活用できるためにはどうしたらいいでしょう。最低限のデータで医療を行うにはどうしたら良いのでしょう。答えが、テキスト形式のデータなのです。

たった一枚の写真を保存するのと、一生分の医療情報を文字で保存するのとでは、文字情報の方がはるかに少なくて済みます。したがって、むやみやたらと画像を保存したり、その他の情報を保存することは、文字情報を保存することに比べればどうでも良いことなのです。

さて、コンピューターで使う文字は現在いくつかのコード体系が知られていますけれども、このコード体系が戦争などで全く失われてしまうということは何千年先もないでしょう。したがって、テキストのデータさえ残っていれば、コンピューターが無くなってしまおうが、ソフトウェアが失われてしまおうが、必ず参照がが可能なのです。

ITに依存しないというのはそういう意味なのです。

現在、病院で使うような立派な電子カルテに納められているデータは、戦争や地震が起きてコンピューターやソフトウェアが破壊されたら復旧できるでしょうか?出来ません。

ところがダイナミクスはどうでしょう。ダイナミクスは、これ以上ないほど単純なテキスト形式ですべてのデータが保存されています。そのデータさえ持ち歩けば、あちこちのコンピューターで開くことがすぐに出来るのです。最近では携帯電話にデータが入るようになりました。

これこそが災害時にすら力を発揮する電子カルテの真骨頂です。

ダイナミクスを使用した診療スタイルは一見ITに依存しているように見えるかもしれません。

しかしその実態は、「ITを駆使するが、ITには決して依存しない医療」と言えるのです。

これが電子カルテとしてもダイナミクスが最高だと私が思う最大の理由です。