超音波で胃を見ると、幽門の位置は通常は正中か正中よりも右側にあります。
けれどもそれが正中より左側に存在する場合がある。その場合に瀑状胃かもしれない、と私は思います。(もちろんあとで内視鏡で確かめますし事前に答えがわかっていることもあります)
「瀑状胃とはなんだ」に対する答えは胃の回転(内臓は胎児の時にくるりと回転しつつ形が成長していくのです)が少し違うということだと思いますが、そのひとつの証左なのかもしれないなと思いながら観察します。
何を言っているのか全くわからないかもしれませんが、自分でも何を言っているのか良くわかりません。エコーを行っている時に、
1)必ず幽門の場所はわかりますから、まずは幽門を認識できるようにトレーニングしてください。
2)それが出来ると十二指腸潰瘍やアニサキスの診断は簡単になるのですが、少し上級編として胃の形態の異常を考えられるようになるでしょう。胃の萎縮の有無も慣れるとわかるようになりますので大変便利です。エコーも内視鏡も両方できる医者というのは便利な存在ではあります。
応用としては、
左季肋部や左背部の、食後ないし食事中の違和感を瀑状胃の方は訴える場合があります。幽門が正中よりもやや左かな、と思ったら食事が素直に前庭部に入っていかない可能性が考えられます。証明するには実際食べてもらってエコーをすればよろしい。
胃を膨らませることで変形が整復されて症状が取れる場合があります。従って、違和感を感じつつもしっかりと食べるように指導すべき場合もあるのです。
瀑状胃の成立については理由が良くわかりません。先ほど回転の異常ではないか、と書いたのですが胃の小網の短縮が生じているのかもしれません。例えば肥満患者の一部で小網に脂肪が蓄積し柔軟性が失われると考えるとつじつまが合うためですし、非常にやせていても瀑状胃の方がおられるのは別の理由(例えば炎症)で小網が短縮したと考えれば良いのです。潰瘍瘢痕がないにもかかわらず、長年の経過観察中に瀑状胃となる例がまれにありますが、この仮説は良くそれを説明してくれます。一方、分娩後の女性に瀑状胃を認めることがあり、これは単に胃が進行方向に向かって時計回りに回転しただけでもそうなるのかもしれないとも考えます。この瀑状胃はリバーシブルでやがて直ったりします。
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