「どうして胸焼けするんでしょう」という問いに、
「ピロリ菌がいないからですね」と答える。
一日に何度もある会話です。
それは実際事実であって、ピロリ菌がいない人は胃酸分泌が多いですから、胸焼けだってしやすいのです。
「ピロリ菌がいないって事は胃癌にはなりにくい運命だということでありまして、しかし胸焼けはしやすいんです。神様って意地悪ですよね。でも胸焼けで食道癌になる日本人ってほとんどいらっしゃいませんよ。だから医者的には神様はあなたに微笑んでいる、と思います。良かったですね」
「あ、そうなんですか」
「そこで胸焼けをしない方法を考えましょうっていうのが医者の役目でして、生理学とか解剖学とか薬理学とか、あなたに指導するために難しいことを一生懸命勉強してありますから、あなたにあった方法をこれから探そうかな、ってところです」
「私は逆流性食道炎なんでしょうか」
「逆流性食道炎という言葉がひとり歩きしていて好ましくはありません。哺乳類は全部と言ってよいほど逆流性食道炎があると思いますけれどね。胃酸が逆流しない動物っていないですから。それを病気として捉えるか、状態として捉えるかの違いはあると思います。あなたは逆流性食道炎ではあるが、それは病気とは私は思いませんよ」
「はあ」
無用な不安感は症状を増悪させます。いろいろな広告のおかげで、その内容が理解できない人達は逆流性食道炎に対して非常に不安を強く持っています。それらの人々にある種のメタ知識を植え付けてニュートラルな状態までます持っていくのが治療の出発点です。
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