Gut 1991;32:1303-1307; doi:10.1136/gut.32.11.1303
Osteopenia and osteomalacia after gastrectomy: interrelations between biochemical markers of bone remodelling, vitamin D metabolites, and bone histomorphometry.
のような論文はあるものの、あまり強調されていないような気がする。
Mindsで公開中の骨粗鬆症ガイドラインによれば、
続発性骨粗鬆症の中にももちろん胃切除後は含まれているもののその扱いは小さいように思う。
そしてその発症機序は、骨吸収促進型でも骨形成低下型でもなく、カルシウム吸収低下によるものだと考える。
Scand-J-Gastroenterol. 1997 Nov; 32(11): 1090-5
Osteoporosis after total gastrectomy. Results of a prospective, clinical study.
これは胃切除後5年のフォローをした研究で5年間では差は出てこない。
Calcified Tissue International 2000 Volume 66, Number 2: 119-122
Osteoporosis After Gastrectomy: Bone Mineral Density of Lumbar Spine Assessed by Dual-Energy X-ray Absorptiometry
これは5年後以上経った患者さんを見た研究で、BMDが0.70 g/cm2を骨粗鬆症と規定すると男性では18%が、女性では71%がそれと診断されるようである。それは胃の部分切除であっても全摘であっても差はなく、一方で術後20年以上では高率に骨粗鬆症と診断されるようである。
30年前から消化性潰瘍での胃切除は減ったとは言え、当時十二指腸で胃切除を受けた患者さんがスクリーニング検査で骨粗鬆症のチェックを受ける時期に入ったといえる。したがって、潜在的に胃切除後の続発性骨粗鬆症に罹患している患者さんは多いはず。もちろん癌サバイバーも多い。
このところ胃切除後の患者さんにエビス○やら、ビスフォスフォネートが処方されている例を良く見かける。血圧の初期診療では二次性高血圧の除外が重要であるように、骨粗鬆症のガイドラインでも総論の最初に
- 診断マニュアルでは,第一義的には低骨量の存在を確認する。
- ついで,低骨量をきたす疾患や続発性骨粗鬆症を除外する。
続発性骨粗鬆症の除外をきちんとする必要がある(こんなに沢山ある)ことを強調する必要があると考えている。
ところで、萎縮性胃炎の有無によっても投薬は大きく違うはずである。
とりあえず治療、ではだめである。病的な骨量低下については患者背景を正しく理解し戦略をたてる必要があるのだ。
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