2009/12/12

一次除菌に関するまとめ

日本臨床第67巻12号(2009)が Helicobacter pylori 特集でしたので、その記事から要点をかいつまんで、また私の見方を加えてメモ書きとします。
2013/2/23追記しました。(青字)

一次除菌法の現状と問題点~杏林大学医学部第三内科徳永健吾先生~
1)現在一次除菌で認められているプロトンポンプ阻害薬(PPI)はオメプラゾール、ランソブラゾール、ラベプラゾール(、エソメプラゾール)の3種類である。このうち第三相二重盲検試験ではラベプラゾールの除菌率が最も高かったが、同等であるとの報告もある。エソメプラゾールはラベプラゾール同様に除菌成功率が高い。
2)クラリスロマイシン(CAM)の量は400mgと800mgが認可されているが、両群に差はなく400mgが推奨される。
3)出血性大腸炎以外に大きな副作用は報告されていない。
4)除菌後の逆流性食道炎は増加しない。
5)プロバイオティクスなどの補助療法も注目されている。

当院での工夫について
1)CYP2C19の多形に関して、homo EM(homozygous extensive metabolizer)群、hetero EM群ではオメプラゾール、ランソプラゾールの代謝がはやく効果はランソプラゾール40mg>ラベプラゾール20mgだが、PM(poor metabolizer)群では効果はランソプラゾール40mg<ラベプラゾール20mgである。したがって当院ではまずランサップ400での除菌、したがって当院では、コンプライアンスを優先させたい、あるいはPM群であると予想できる人々にはまずランサップ400での除菌、それ以外ではラベプラゾール(あるいはエソメプラゾール)+AMPC+CAM、一次除菌が失敗した場合には全員homoないしhetero EM群と仮定してラベプラゾール(あるいはエソメプラゾール)+AMPC+CAMで除菌というプロトコルを採用している。(保険適応です)CAMの役割は抗菌作用以外にもあると考えており、まずはAMPCが十分に作用する胃内環境(pH6以上)を作ることが最優先される。
2)CAM400mg/dayを基本とするが、若年者では失敗例が多く、CAM800mg/dayを経験的に使う場合もある。
3)禁煙はしたほうがよい。治験時に相当数の喫煙者が入りデータのノイズとなっているのが問題である。このようなレビュー記事に喫煙に関して触れられていないのが極めて不満である。喫煙者では恐らくCAMが胃内分泌されず、頑固な粘液カプセルに H. pylori が保護されてしまい除菌が高率に失敗する。強力に胃酸分泌を抑制した場合には、この差は出ない可能性がある。
4)出血性大腸炎ば耐性乳酸菌の投与で抑制できているかどうかはわからない。
5)LG21やその他の薬剤の併用は恐らく一定の効果があると考える。当院での除菌においてもLG21併用は推奨している。
6)除菌後にその影響で太っては何の意味もない。ガイドラインでA推奨とするのは良いが、除菌後の全身管理も含めて考えるべし。

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