2008/12/15

萎縮粘膜には分化型の胃癌ばかりと考えるのは間違い

院長である父が木村・竹本の分類を所見に記入するようになって11年。
22000名ほどの症例について検討した。

印象としては萎縮が進んでいても、porやらsigやらは普通に見つかるので、「萎縮してるから分化型が多いし・・・」という楽観論に対して違和感を持っていたのは事実だ。

検討の結果、萎縮があっても一定の比率で未分化癌は見つかり、その比率は0.5%程度と結構高い。
萎縮した粘膜を背景とするだけでなく、高齢のため大抵は貧血であってなおさら背景は白いので、リンパ球浸潤のため褪色調に見える未分化癌はますます見つけづらい。異常血管、あるいは萎縮の中の血管透見不良などを目安として、最低限広い病変を見落とさないという事を肝に銘じておく必要がありそうである。

一方、分化型癌は萎縮がO-3ともなると1.5%以上見つかるのも事実である。
全体を眺めると、C-2とC-3の間には大きな差があり、O-2とO-3の間にも大きな差がある。C-3, O-1, O-2はキャラクターが似ている事は特筆すべきである。
今まではClosed type atrophyとOpen type atrophyでリスクの比を見たりしていたけれど、今後は、C-2まで、C-3~O-2まで、O-3と三段階に比較すると分かりやすくて良いかもしれない。

当然除菌した場合の予後もこの3群で明確に異なるはずであり、今後20年以上かけて当院ではフォローを行うこととなろう。



それとは別の危険因子として、食道癌同様にADH2欠損+アルコールは非常に大きいと考えている。

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