2008/12/17

データマイニングの必要条件

ダイナミクスは電子カルテ機能もついたレセコンです。
左右に分割され、それぞれ所見と処置を書くカルテ2号用紙がそのまま見えるのがありがたい。
多くの電子カルテもそうなっていますが、もともと2号用紙の右側を保険診療に忠実に記録していた私にとってはダイナミクスの正確な記述は非常に役に立っています。



ダイナミクスは天才的な発想から作られたレセコンですが、その理由のひとつはこの2号用紙が「21文字のテキストの集合体である」という事です。255文字までのテキストとしても良いのかもしれませんが、21文字とした事で一気にレセコンに必要なプログラミングスキルが下がったとも言える大変な発想なのです。

これって公開しても良かったのでしょうか。まあ、良いでしょう。

この「21文字しばり」がダイナミクスを臨床研究コンピューターにしてくれるのです。

ダイナミクスを臨床研究に使用するには、

「キーワードは21文字以下で」
「行にまたがるようなキーワードの書き方をしない」
「重複するキーワードを避ける」

以上を守るだけで必要条件が揃います。

例えば「アスピリン」をキーワードとしたい場合、行にまたがって「・・・アスピ」「リン・・・」という書き方を避けるように気をつけておけば良いのです。

当院では上部内視鏡を行うときに木村・竹本分類を使用します。この分類のすばらしいところは、「C-0, C-1, C-2, O-1, O-2, O-3」と、短くて、重複がなくて、すべての胃に対して一意の診断がつく(術後胃と重篤な胃病変など特別な場合をのぞく)ために、所見のインデックスとして活用が可能だという事です。

例えばこれがO2であったとするならば、それは酸素のO2とあとで混同される可能性があるのです。

これ以外に、「自分勝手に使用する略語はすべて小文字」という法則を使用しています。

「SSB」はShort Segment Barretの事で、3cmに満たないバレット上皮を指しますし、「FGP」はfundic gland polyp、胃底腺ポリープの事です。これらは多くの論文で使用される事がある略語です。
しかしそれらだけではキーワードとしては不足なのです。
自分で所見を書くときに例えば「C-1, hh, fp」と書けば、hh は hiatus hernia (食道裂孔ヘルニア)の事ですし、fp は fundic gland polyp の事です。そして小文字で書く事によりそれは当院のローカルルールである事を示しています。ちなみに当院でpolypと書けば、それは hyperplastic polyp を示しています。さらにこうした使い方もあります。腹部超音波で肝嚢胞があったとします。院長が所見を書けばhepatic cystとなりますが、私が書けばliver cystとなります。書き方により術者まで特定が出来るのです。

カルテは見読性がなければならないのは当然の事ですが、それもこうしたインデックスがしっかりと定義されているかどうかが鍵となります。冗長にだらだらと日本語を書けばデータマイニングの必要条件を満たしません。SOAPなどを学ぶ際には、このようなカルテの書き方を学ぶべきなのです。

2号用紙の右側にはインデックス化された日本語がしっかりと書かれています。それらは医事データです。今まで内視鏡の時に色素撒布をしたかどうかは正確に調査する事は難しかったのですが、医事データがあればそれは簡単です。医事データはデータマイニングの必要条件をしっかり満たしています。2号用紙の右側に記入できるのは医事データだけではありません。ダイナミクスでは受診検査コード100000台はコメントとして2号用紙の右欄に残す事が可能です。これを活用しない手はありません。さまざまなコメントは受診検査コード100000台に検診項目として登録しておくとあとあと便利なのです。

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