自分は胃弱という言葉が好きではないし、
消化の良いものが胃に良い、という考え方も好きではない。
患者さんには申し訳ないが、
ピロリ菌がいないきれいな粘膜で、びらんも何もない、
そういう人が「自分、胃が弱いんですよ」とアピールしていることが多分にあって、
その時に、「強いか弱いかで言ったら、あなたの胃はうんと強い」と否定してしまう。
胃弱、という言葉の捉え方、理解の仕方は人により違う。
まずはそれを聞き出すことが最初だ。
「どうして胃が弱いと表現するのか」と聞いてみる。
すると、
・脂っこいものを受け付けない
・すぐにお腹がいっぱいになる
・食べるとお腹が痛くなる
・食べたら下痢をする
・食欲が出ない
というような答えがあって多様だという事がわかる。
それらは
・胃酸が出すぎたり胃の動きが悪い
・胃の受け入れ反射が出にくい
・食べた直後に過蠕動が生じている
・食べた後の胃-結腸反射が過剰に起きている
・空腹感がない
などをそれぞれ示している。ピロリ菌がいない人は一様に胃酸が多いので、これは症状に修飾を加えている。
さて、我々(父と私)は、これに対して「消化の良いものを食べる」ことを絶対に推奨しない。
なぜならば、足が疲れた、と言って休んでいる人に、ず~~~~っと一生休んでいただいたらそのまま歩けなくなるからだ。しっかりと食べる、を基本としています。
ただし、「胃弱」と訴える人、特に私にではなく友人に自分が「胃弱」だと訴える人はそれがアイデンティティになっている事があるから、そっとしておきます。
胃弱だ胃弱だと言っている人の中には、クローン、ベーチェット、サルコイドーシス、アミロイドーシス、消化性潰瘍、セリアック・スプルー、microscopic colitis、食物アレルギー、慢性膵炎、胆道ディスキネジア、膵胆管合流異常症、胃癌などが隠れている場合が当然あって、内視鏡だけじゃわかりませんから、むしろ内視鏡だけじゃないクリニックにかかって欲しいです。
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