2014/07/10

一生飲まなくちゃいけないんですか

整腸剤(乳酸菌とかビフィズス菌とか酪酸菌などが主成分)を処方するときに「一生飲まなくちゃいけないんですか?」と心配する人は意外といる。

そして答えに困ってしまう。その質問がナンセンスである、という事を説明し、理解させることがまず大変だからだ。

「このお薬は一生飲んでくださいね」という言葉を医者が安売りしすぎたのがそもそもの原因じゃないか、と人にせいにしてみた。
昭和60年以前に乱発された言葉だろうか。現代でもまだこのセリフを間違って使う医者はいるらしい。

一生とは言わないまでも、相当長期間飲み続けなくちゃいけない病気はもちろんあるが、このセリフが乱発されたせいで色々弊害があるようだ。

例えば、
1)あんまり必要なさそうなのにずっと飲んでいる人々
がいるし、
2)俺は飲まないぞ
という事に快感を覚えてしまい(反権力という欲求を満足させる)薬をやめて適切にお薬を飲んでない人がいるし、
3)一生飲むなら飲まないほうがまし
という哲学的命題に取り組む人もいるし、
全くこちらとしては困ってしまう。

私自身は「一年先のことは一年先考える」というスタンスだし、色々なお薬を「〜まで使ったらもう一度評価」と説明する。
「再評価」は常になされるべきだからだし、そもそもあなたがた、それが出来るのは医者だけだから医者にかかるんです。
「薬だけ」という外来を絶対に絶対にしない、というと首をかしげる人が居る。
それは「治療について再評価をする」という医者の使命を全く理解していないし、そういう医者にも会ってないんでしょう。再評価と称して検査漬けにする医者が出てくるともっと面倒だけれど、どうも最近医療にはそういう傾向も出てきたから書いてしまう。

そして最近の事だけれど「一生飲まなくちゃいけないんですか?」という質問をした人は「薬だけくれ」と言うことに気づきました。その考え方がペアになっていることでピンと来たのですが、どうもこれらの人々は「ものを再評価する」という概念が欠けているのでしょう。

だとすれば、「一生飲まなくちゃいけないんですか」という問いに対する答えは簡単に出来る。

「いえ、一定期間経ったら評価をしなおしますので、一生ではありません」と答えておけば良いのだ。




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