2011/03/02

GnRH

更年期になると火照りなどの症状があるけれど、それが女性ホルモンの不足だからと説明されて理解できますか?

不足してるんですよ?どうしてそれで症状が出るんですか?不足したら、何かの症状が出ない、のが普通じゃありません?

火照る」って、いかにも何かが過剰な症状じゃありませんか?しかも症状は間欠的ですよね?間欠的。

と、医者になってから16、7年悩んで、数年前「あれ?」と思い出しました。

GnRHじゃん。

私は横浜市立大学医学部第二生理学田中教授のおかげで女性ホルモンのフィードバックについてはとてもとてもよく勉強しました。というのも前期のテストが悪くて24点しか取れなかった。呼び出されまして「君、後期96点取らないと留年だから」と言われたわけです。

横浜市大医学部の第二生理学っていうのが、LHサージを発見した有名な川上教授のラボでして、性腺のホルモンに関しては必然的に詳しく教えて下さるという背景があります。夏休みには泊まり込みで実験もする。(何しろ夜行性であるマウスのLHサージは夜中に起きますのでね)授業そのものは面白いのですが、理解の壁を突破する事がなかなか出来なくて。

自分は授業を一番後ろで受けるような学生でしたが、一番後ろで一生懸命ノートを取りまして、なぜか田中教授が自分の隣で授業を聞いておられて、(授業は助教授や講師の先生方がしている)おかげで真面目に勉強をしました。結果的には後期でちゃんと点数が取れまして留年しないで済みました。叱ってくださりありがとうございます。

そのときフィードバックについて散々勉強したのに忘れていました。ホルモンには必ずフィードバックがある。それからLHサージで見られるように、ホルモンの分泌は極めてダイナミック。

卵巣機能が落ち、エストロゲンの放出が減少すると、視床下部-脳下垂体へのネガティブフィードバックがかからない。なので、視床下部から放出される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)はかえって増加してしまうはず。

もう一つ重要な事を思い出しました。GnRHというホルモンは律動的に放出されること。つまり数分間が~~っと出て、あとは出ない、というような放出の仕方なのです。

これはまさに更年期症状と同じだなあ、GnRHの律動的な放出がその正体なのだなあとやっと理解したのです。(と思って調べると英語ではそれらしい記述がある。ただし証明はまだ、みたいな)

実際には、GnRHに対する感受性の亢進も重要な要素みたいです。





じゃあ治療は、と言いますと。なにしろ視床下部ですから。

GnRHアンタゴニストは効果があるとは思います。デガレリクスという薬がありますが、効くかも知れない。

ちょっと現実的じゃないですね。考え方を変えましょう。火照りの正体は、直前の血圧低下に対する反応らしいのですよ。動悸もね。

おそらく漢方は、昇圧作用とかそういう感じでしょうね。効き方は。



漢方使うんじゃみんなと同じだなあ、別の事言わないと・・・。

なので、筋肉をつけましょうと。(あ、これも同じですか・・・)

筋肉をつけますと、血圧調節が上手くいきます。低血圧を防いだり出来ますから。これはすごくエビデンスがあります。運動は不安定さに対して防御的に働きます。

そんな感じで説明しています。

自分としてはGnRHで、更年期だけでなく、乳癌や前立腺癌の治療中の症状も説明出来るし勝手に納得出来ました。

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