2011/03/30

レジュメ

今週から医学部6年生が実習にみえています。当院で学べるかなと思うこと。


  1. 当院へ見学にみえる学生さんの志望動機の多くは、「超音波検査のハンズオンが出来る」という事だと聞いています。当院では、視診、聴診、触診、検尿と同様の非侵襲的な検査として超音波検査を位置付けており、例えば急性腹症の診断においては血液検査・レントゲン検査に優先されて行われることが多くあります。エコーは熟達すれば結果がすぐにわかる検査で、技師に任せず自分で行えれば視診・触診・聴診の「答え合わせ」が出来るという強みがあります。現代は多くの検査(モダリティ)に頼った医療を行っていますが、それが使えない場合もあるでしょう。検査に頼らずに、診察だけで答えを出すスキルを磨くには「答え合わせ」が絶対に必要なのですが、それが一番素早く効率的に行える検査が超音波検査であり、そのメリットを実感して欲しいと思います。また、超音波の基本はまず理論的な理解です。教科書の最初の15ページぐらいがもっとも重要で、それ以上の知識はあくまでも派生に過ぎない事を知ってほしいと思います。当院で使っている超音波機械はラインアップの一番上にある機種で、値段、保守点検ともに非常に高額です。機械の扱いの荒い学生さんは当然の事ながら機械を触らせてもらえません。プローブだけで300万円の機械、コツンと落とすだけで壊れます。そもそも道具をエレガントに扱えない人には、患者さんの検査は無理です。
  2. 当院で行っている内視鏡検査が(他とは何か違うな?)という事を感じて欲しいと思います。「うまい」と片付けるのは簡単ですが、上部でも下部でもどこが違うのだろう、そして何故なのだろうという事を考えて欲しいと思います。所見では木村分類を重要視(最近ではNBIも含めた観察)しますが、それに付随した所見の読み方はどんな分野に進んでも色褪せることはないでしょう。
  3. 院長は医師歴56年、私は20年です。みなさんの方が私より20年、院長より56年進んだ知識を身につけているという事です。どうしたら我々はみなさんに知識で追いつけるか、衰える頭脳をどう使うかを常に考えています。医者は一生勉強しなければ落ちこぼれてしまう職業で、それらの知識をどう身につけようと努力しているかを見て欲しいと思います。結論から言いますと、鍵となるのはITリテラシーです。常に最新の知識を身につけるには、インターネットを駆使したり、コンピューターでまとめたり、英語で情報を集めたりという事が不可欠です。今若い世代の先生の30年後を考えますと、ITによるサポートなしでは成立しない医療であろうと思います。それを見て欲しい。そして私共にみなさんの新しい知識を是非教えて欲しいと思います。
  4. 土曜日の午後まで診療していますから、土曜日に他院見学でお忙しいみなさんは当院での実習はやめたほうが良いでしょう。
実習予定者は実習の前の週に電話をしてください。
通常診療の他に、腹部レントゲンの読み方、エコー、内視鏡などのレクチャーがあります。
レポートを出して頂きますが、内容は自由です。A4の用紙に表紙を付けて下さい。
一つの疾患についてレポートを書いて高点数を取るのは難しいと思います。どんなに一生懸命書いたものでも、間違いが目についてしまうのです。
それよりは毎日の実習での「気付き」についてお書きになる方が良いかと思います。

余談になりますが、私の姉は「必ず役立つ情報リテラシー」という本を書いています。慶応大学薬学部の専任講師として生徒に情報リテラシーについて教えているようです。統計処理などが自分で出来ない場合には独立して診療するというのは無理(上司/管理者がいない状態でQuality Control が出来ないのは危険)だと思うので、独立しようという方は最低限の知識は身に着けて下さい。

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