2013/05/06

60歳

大腸がん検診の新ガイドライン(アメリカの)では、

60歳未満で大腸がん罹患の家族(親、子、ないしは兄弟:アメリカではFirst degree relativesと言われ、遺伝子を50%共有している間柄)が一人いる場合、あるいは年齢関わらず二人いる場合・・・・・には40歳、ないしはその家族の罹患年齢から10年さかのぼって最初の大腸内視鏡を受けなさい(その後も5年に一度は内視鏡を受けるなど、念入りなフォロー)。あるいは60歳以上で親兄弟に大腸がんになった家族がいる場合、ないしSecond degree relatives(遺伝子を25%共有している伯父・伯母、祖父母など)に大腸がん患者が二人以上いる場合には50歳時点で一回大腸内視鏡検査を受けなさい(以後は通常通りのフォロー)、という項目が設けられました。複雑ですけれどわかりますか?ひとりだけ大腸がんの親戚(親、兄弟以外)がいる場合には普通のスクリーニングで良いとされています。
(当方の過去の記事→こちら

例:親が55歳で大腸がんと診断された場合、その兄弟、子供は40歳時点で大腸内視鏡を受けるべきである。45歳で親が大腸がんと診断されたら、35歳で大腸内視鏡を受けるべきである。

この大腸がんは進行がんを想定してるのでしょうけれど、早期がんであってもこのガイドライン通りで良いだろうと思います。HNPCC遺伝子を持つ患者さんはかなり多いのです。大腸の早期がんをフォローしていると10年経ってからもう一つ大腸がんが出てくることはざらにあります。やはり60歳未満発症の患者さんです。

60歳の規定があるのは大腸がんのみですけれど、遺伝に関係のある癌として、
大腸以外に、甲状腺、乳腺、卵巣、子宮体部、噴門部、尿管、膀胱などがありまして、
やはり60歳未満発症かどうかは重要なのかもしれません。患者さんの家族歴を聞く際には、
「癌になった方がいるかどうか、そして癌と診断された年齢」
を必ず聞くことにしています。
そして大腸がんと診断された患者さんには、「兄弟が大腸内視鏡を受けているか確認をお願いします」と説明しています。
他のあらゆる癌についてもご兄弟やお子さんのスクリーニングの仕方をアドバイスします。

逆に、やけに癌を心配している患者さんの中には、
80歳の高齢で診断された親の癌にこだわっている方が少なからずおられるため、
「それはおそらく遺伝関係ない」と説明しておりますが、確固たる根拠はありません。

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