カフェインの融点は238度ということになっている。(→リンク)昇華がどの程度あるかということについて、詳しいデータは簡単には得られなかったが、昇華点は178度である。
一杯のドリップコーヒーのカフェインの量をインターネットで調べると120mlのドリップコーヒーで100mg程度とする意見が多い。コーヒーの焙煎(180度?こういうのもなかなか調べると出てこないが、この温度での昇華がどのくらいあるのか)の深さや抽出のスピードにより色々なのだろう。それよりカフェインが多いとされている玉露(120mgとか書いてある)がどうして目が覚めないのかというと、ポリフェノールにカフェインが吸着されており身体に吸収される量が少ないからだ、という意見を読んだことがある。言われてみればそうかもしれない。(茶からカフェインを取り除こうとするとポリフェノールも取り除かれてしまうという難しさがあるようだ)
これらの仮説を確かめようにも、いずれも原著論文を見つけるのが相当に難しい、というのが問題だ。あまりにネットに情報が氾濫すると、何が本当の情報なのかを見つけることが極めて難しくなる。素人が書きとめただけのソースの提示もなにもないエントリーだらけで、そのSEOをかいくぐって正しい情報を集めるためには相変わらず、 site:go.jp だの、 site:ac.jp だのを付加せねばならぬ。(それでも不十分だ)Google Scholarで検索するとGoogle Booksもいっしょに検索してくれるのだが主婦の友社などから出ている本の中が垣間見えたりして、それがWeb上での色々な数字と一致していたりするから、例えば茶とかコーヒー関連の財団法人なりが発表したデータを使っているのではないか、と推測できる程度ではある。
たとえばほうじ茶。茶葉を高温で焙じる(ほうじる)という行為や言葉は、「焙煎」(ばいせん)という行為や言葉よりもとてもやわらかくて大好きだ。プロはそういうことはしないだろうけれど、フライパンで焙じる場合に、フライパンの表面温度はちょうど200−250度ぐらいだと思う。その温度ならば昇華しまくり状態になるはずで、うまいことカフェイン抜きのお茶を作ることが出来そうである。
ところがネットで調べるとほうじ茶と緑茶のカフェイン量が同じだったりするものがある。(例の主婦の友つながり)「え〜〜〜それはない」という気持ちである。
そこで、お詳しい方は「日本食品標準成分表2010」を見ろよ、という事になるのであろう。そこで
csvファイル
を探し当ててダウンロードして見たところが、カフェインがないではないか。
食品安全委員会のファクトシートを見ましてもあまり詳しいデータはありません。
HPLCを持っていれば自分で測定ができます。ほしいな。(300万円強でしょうか…)
ところで40過ぎの我々から見れば前時代的な「エナジードリンク」なるものが、結構新たな富を世界中で生産しているようです。また、その富をスポーツ振興に上手に使っておられるようだから、しばらくはブームは去りそうにない気がします。(ドーピングの監視薬物に当たるカフェインを含有するドリンクがそのスポーツの大スポンサーになっていることには世の中の複雑さを感じます)
カナダでの180mg規制は当然の動きのように思います。日本人はADH2欠損の人が多いのでアルコールには弱い人だらけ。でもカフェインで調子が悪くなる人は西洋人ほどは多くはない(西洋人のカフェイン代謝は遅いことが1985年以前から論文で示されている。"caffeine x metabolism"で検索してみてください。この理由がNアセチルトランスフェラーゼの多形性によるものか、CYP1A2の多形性によるものかまではわかりませんでした)から表面化しにくい問題かも知れません。日本ってなんでも10年遅れで(エナジードリンクでは世界に40年先んじたのにね)欧米に追従するのでカフェイン好きの人が増えるかもしれない。「エナジードリンクやべえ」みたいな風潮はかっこ悪いってことは取り敢えずロングテールで伝えていくようにしたいと思います。
結局カフェインに関しては食品ごとの詳細なデータはとうとうまとめて手に入れる事ができませんでした。
人間が大好きな昼の嗜好品が茶・コーヒーに帰結する、というのはカフェインと無縁ではないのでしょう。
煎茶などの原料になる茶の木(Camellia sinensis)はツバキ目ツバキ科の常緑樹。
コーヒーの原料になるコーヒーの木(Coffea属)はアカネ目アカネ科の常緑樹。
クロンキスト体系やAPG植物分類体系を見てもそれほど近くないこのふたつの植物が恐らく偶然同じアルカロイドを作り出して繁栄を誇っているというのは興味深いです。必然であるのならその理由を知りたいです。
喘息に用いる場合の(最近はあまり使いませんが)テオフィリンの一日常用量は300mgです。カフェインの成人での上限400mgとはだいたい一致するところで、妙に腑に落ちる数字ではあります。
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