2012/10/31

「〜年齢」は悪趣味な誇大表現に過ぎない

「血管年齢」(血管年齢101歳、という結果を平気で患者に渡すデリカシーの無さ。100歳まで生きている人は動脈硬化の少ない群だろうに矛盾だらけ)「骨年齢」(骨年齢って本当はこどもの骨をみて成長の指標に使う言葉なので骨粗鬆症に使うのは完全に誤用だと思う)「呼吸年齢」(まさか、と思うだろうが最近こういう言葉を使っている人間ドックを見て呆れた)などの表現があるようです。


その表現が好きな彼らは横軸に年齢をとります。このグラフでは0−100歳としました。

少し濃い赤い線は10歳ごとに0.05ずつ変化する線で、薄い線は0.03ずつ変化します。年齢ごとの測定値がその線の真上にのると言うのです。ポイントはこの直線がかなり寝ている、という事です。実際には微妙な差であっても結構年齢にすると大きな差になる、という部分が重要です。

さて、例えば何かの測定値が平均から0.03ずれています、というと全くインパクトがありません。そこで0.03ずれるってことは(薄い色の線で考えると)…う〜んと10歳ずれてるってことじゃん?と解釈し「〜年齢」と称して、10歳ずれていますと表現するのです。

でも、これはそもそもの検査の誤差が全くないと仮定していまして、ましてや、理論値なる直線の信頼度が1.0(つまり100%)であると決めつけたとんでもない表現です。
0.03を10に出来るんだから、一種の増幅に過ぎません。単なる患者さんを驚かすための誇大表現です。

こうした表現は馬鹿馬鹿しいと思って相手にしていなかったのですが、ショックを受けている患者さんがかわいそうなので、わかるように解説したつもりですが、どうでしょう。

(2012・11・3追記)幾人かの卓越した臨床医の意見を伺うことが出来ました。彼らの「年齢」という言葉の患者さんに対する使い方は実にナイーブで繊細だとわかりました。
会話や説明の中で、気遣いや方便などを内包させる事が出来る大切な表現を無神経に踏みにじられた気がして、私は悔しいのだろうと思います。

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