2011/09/06

検査結果はお持ち下さい

当院に受診する時に、
1)お薬手帳(新しいものだけでなく)
2)検査結果(なるべく生のデータを)
を必ずお持ちいただくようにお願いしています。
持っていらっしゃらない方には一度お帰りいただくことも珍しくはありません。
献血の記録なども助かります。

お薬手帳がない場合には、おかかりになった医院(病院)、薬局の明細領収書でも結構です。

メリットは多大です。
1)あなたの先生の見立てや治療が私の参考になります。
2)検査、治療の重複がなくなるので若い皆さんが納入している保険料の無駄遣いを減らすことが出来ます。
3)飲み合わせのチェックは我々のほうが厳しく行いますので、薬局よりも役立ちます。
4)他院(検診)では指摘されない異常が見つかる場合や、あるいは他院(検診)で異常とされていても違う解釈をする場合があります。
5)時間の節約になります。

我々のお出しする明細領収書にはそのままお薬の内容も記載してありますし、お薬手帳にも記載しますからそれを主治医の先生にお見せ下さい。



しかしお持ちいただく理由はそれに留まりません。私にとっては宝の山です。

一例を示します。

検診の結果を持っていただいてチェックしていますと、各機関で微妙な違いがあります。検査値の並べ方、あるいはフォントの大きさなどもそれぞれこだわりがあるはずで、検査者の意図をプロファイリングするのが私は好きです。
ある公的機関の検診結果を拝見して気づいたのですが、血中尿素窒素(BUN)の数字が、
193
と書いてありました。
通常、BUNの単位はmg/dlであらわす場合が多く、その時に正常値はせいぜい20mg/dl未満です。
193は目を引きます。
その左隣に単位が示され、x10-1mg/dl と書いてあるのです。つまり検査値は普通の10倍になるようにわざわざ調整されている。

10秒ほど考えてある結論に達しました。

BUNの数字に特に注意を払う目的で、検査値が10倍に表されるようにしてある。
BUNは体を酷使した場合に上昇するが、通常は見過ごされがちである。
横紋筋に強いダメージなどが生じ得る職場であり、過去にこれを見過ごしたために死者、あるいは重大な後遺症が残った事例があった可能性がある。
二度とそのような間違いをおかさないために、数字が10倍になり目がつきやすいようにした。

というストーリーがあったのではないか。

検査結果をお持ちいただき、そのプロファイリングを行うことが私にとっては医療を行う上でのひとつの興味になっておりますから、みなさんには結果をお持ち下さいと言うのです。

もちろん他の理由ももっとありますが。




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