2011/05/22

内視鏡挿入の奥の手(うつ伏せ挿入)〜プロローグ〜

小田原市にある間中病院は、明治39年に設立された伝統ある病院で、先代は漢方の先生としてもご高名で祖父はライバル意識があったようでしたし、純也先生、信也先生は父と同窓ですし、息子さんは私と同窓という事でなんとなくご縁を感じております。

10年近く前のある日、父が突然思い出したように患者さんをうつ伏せにして内視鏡を挿入しておりました。

「どうしたの?」
「こうすると楽に入るんだよ」(医者も楽、患者も楽)
「どうして思いついたの?」
「そうじゃなくて間中純也先生が前教えてくれたんだ」
「へ〜すごいね」
「内視鏡専門でそればっかりやっていないほうが、いろいろ発想できるのかな」

というような会話がありました。
この方は反射が強いな、という場合にはナースに、
「うつ伏せにしてくれる?」と頼みます。

さて、8年前に癌研の大塚病院に行きました。
ここは当時鎮静剤を使った内視鏡に抵抗があったようで、
昭和大学藤が丘病院同様の鎮静法が使えませんでした。
(高橋寛先生が何ヶ月か説得にかけて、今はもちろん鎮静剤を導入しています)

私はまだ良いのですが、研修の先生に挿入を任せるのは、
(患者さんがゲエゲエ言うのを見るのは絶対に嫌な私ですので)
不安がありました。癌研は咽頭術後の方が多く、難しいのです。

その時に若い先生にこのうつ伏せ法を試してもらいましたら、
検査が非常にスムースで、
患者さんから「すごく楽でした」の一言がありました。

昨年その患者さんを検査したのは日本を代表する名手であり、
名手をうつ伏せ法で若者が越えたのを目の当たりにした瞬間に、

「これはホンモノだ」と確信したわけです。

それを私の師匠の高橋寛先生に話したところ、
さすが達人は理解がはやいというか、
非常に評価していただきまして現在に至っております。
癌研の山本順正先生は学会で発表してくださったのではないかと思います。

まだまだ張っておきたい伏線はありますが、
プロローグが長くなりますとみなさん飽いてしまうので、
次回は具体的な方法について書くことと致します。

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