2014/07/21

見立て、について(回答編1)



患者さんが、「眠れない」と受診をされました。
診断は、ウイルス感染症とし、4日ぐらいで軽快するのではないか、としました。
いったいどのように病歴を聞いたのでしょうか。




「眠れない」

「どうしてだろう」

「わからない」

「眠れない、って睡眠時間が短いということなんだろうか、寝付きが悪いという意味なんだろうか、それとも途中で起きてしまうという意味なんだろうか」

「途中で起きてしまう、かな」

「それはトイレで起きるんだろうか、眠りが浅いんだろうか」

「トイレかねえ」

「いつから?」

「2日前から」

「昼間眠くなる?」

「昼寝はするね」

「この2日間?」

「そう」

「おしっこするときにおしっこをする場所が痛いだろうか」

「痛くない」

「おしっこの量は多くなっているだろうか」

「行きたいんだけれど、ちょっとしか出ない」

「背中叩いてみるよ、どう?痛い?」

「痛くないねえ」

「おしっこ採って、熱計ろうか。血圧は137/80で、脈は80回か、ちょっといつもよりは高めで脈も速いか」

「おしっこ採ってきました」

「おしっこは、きれいだったねえ。熱は36.8度。平熱は?」

「36.4度ぐらいだねえ」

「診察させてくれる?この首どうした?」

「うん、なんか腫れてる気もするねえ、それとちょっと痛い」

「それはいつから?」

「2日前かな?」

「わかった。とすると、2日前から眠れなくて辛い、と。おしっこが頻回になっていると。少し血圧・脈拍・体温がいつもよりも高めで、のどが痛いんだね。それに腫れている。おしっこはきれいで膀胱炎ではないらしい。とすればウイルス感染症で頻尿になる事があるから今回はその可能性があって、あと2−3日で治ると思いますよ」

「あー、そんな気がする。じゃあ治るのかね」

「良くなりますよ。ところで風邪薬は眠くなるんだけどさあ、自分は風邪薬出すの好きじゃないんだけど、お薬なしでいい?」

「良いです良いです」

「塩水でうがいして下さい。調子が悪いなと思ったらまた見せてください」

「ありがとうございました」




感染症ではインターフェロンのようなサイトカインが放出されます。肝炎の時に使うインターフェロンでも頻尿の副作用がありますが、風邪の時にも頻尿を訴える人はおられます。ポリモーダル受容器にサイトカインが働いて閾値が低下したりする事があるそうで、そんなことが膀胱でおきるのでしょうね。風邪、頻尿で検索すると説明にもならない下らない説明をしているWebサイトが多いのですが、上記のような考え方が妥当でしょうね。

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