2013/05/29

ヨーグルトの選び方

あくまで経験からきている話なのですけれども、
「ヨーグルトはどう選んだら良いのですか?」という質問にこう答えています。

便が軟らかい人は、古くから存在する商品(発売時期が早い商品)を選んだ方がトラブルが少ない。
便が硬い人は、新商品から試してみると良い。

患者さんと話していると「CMやっている新発売のヨーグルト食べたら下痢した」
のご報告が結構あるのです。
そのご報告をしてくださるのが元々軟便の方が多く。

ちなみに、わざわざ便通を良くしようとヨーグルトを食べるぐらいならば、
整腸剤の方がローカロリーで、安いので、私は整腸剤派。

OTCの整腸剤もおなじ傾向があって、新しい商品ほど便秘の人にあっている印象です。
マーケティングの変化なのでしょうか。

昭和40年代はヨーグルトは栄養補給の意味のほうが大きかった。そして下痢や術後の回復によく使われていた。しかし、時代の変化で便秘のマーケットが大きくなると、おそらくそれに合わせた商品開発が行われた。(単純に細菌の数を増やしているだけかも)そういう事かもしれません。

あとは食べるヨーグルトのほうが軟便の人に向き、飲むヨーグルトのほうが便秘の人に向く、これも自分の経験則です。

機能性ヨーグルトってありますが、あれってお腹が弱い人が飲むと結構下痢をしたという報告がかなりあります。そういう人たちは半分だけ飲んだらどうか、そう思います。





P.S.
腸内細菌でも、上行結腸、下行結腸、直腸のそれは組成が違うのだと言います。
カゼイ菌は直腸に住む、という報告を読んだことがあります。あの会社は私は結構信用しているので、直腸にトラブルがある人にはプロバイオティクスとしてあれを勧めたりすることはあります。

2013/05/19

二酸化炭素を利用した内視鏡-はじめの一歩-

第13回日本実地医家消化器内視鏡研究会
ランチョンセミナー2で講演します。

「二酸化炭素を利用した内視鏡はじめの一歩」

演者:鵜川邦夫(鵜川医院)

「二酸化炭素内視鏡が良さそうだとわかっていても、どうすれば良いのかわからない」という声が聞かれる。

当院は20年以上にわたって内視鏡時に二酸化炭素を用いている。

もともと防爆目的で不燃性ガスを送気するために送水タンクや専用ボタンは用意されていたのでそれを利用していただけである。当院での経験については2007年に論文として発表している。

癌研有明病院ではUCR®発売以前に導入し、そのメリットを享受している。以後も多くの医院・病院での導入に際してアドバイスをしてきた経験から最初に躓きがちな点について述べる。

  1. 二酸化炭素のボンベは酸素を買うのと同じ要領で購入する。医療用炭酸ガスと工業用炭酸ガスの違いは金具だけであり、医療用のボンベは簡易に交換できるような工夫がされている。3.4Lと10Lが一般的で、3.4Lを採用している医療機関が多い。ボンベや炭酸ガスは高価ではない。(地域によって値段や入手性に差があるのは事実)
  2. 減圧弁を自分で用意すれば(酸素の業者が数万円で制作してくれる)細かい流量の調節が可能であるが、一般的にはオリンパスの場合UCR®を、富士フィルムの場合GW-1を購入すれば良い。両社とも30万円程度であるがメリットを考えるとその価値は十分にある。ペンタックスは昔からY字チューブが標準添付されており、減圧弁あるいは流量計から直接つなげれば良い。
  3. 専用ボタンにこだわる必要はなく、通常の送気ボタンで構わない。むしろ細かい流量調節を行う術者はそれを好む傾向がある。二酸化炭素が漏れるのでボンベの交換頻度が増すが、極端に違うわけではない。当院での一例あたりのコストを計算するとノウハウがあるため30円以下であるけれど、概ね100円以下、と考えて構わない。
  4. 購入の予算よりも、術後のケアが楽になることのメリットの方がはるかに大きい。
  5. 安全性について、読んでおくべき文献を提示する。
  6. ボンベの替え時について最初は戸惑うかもしれない(UCR®に表示されるのは「供給圧」であって、「残量」ではない)ので、その原理と読み方について説明する。

2013/05/11

意外と重要な大腸内視鏡前処置の話

一定レベルの医師にかかれば、苦痛がないのが内視鏡検査です。
施設によって差はない、と言っても大げさではないかもしれません。
(自分は上手な先生しか知り合いがいないのでそう思うのかもしれないけれども)

しかし、前処置の方法は施設によってだいぶ違います。
こだわり方もそれぞれでしょう。

「無痛x大腸内視鏡」で検索してみるととてもおもしろいのですが、
同じ事ばかり書いてあってすぐ飽きてしまいまいました。
それよりもどういう前処置をしているかのほうが、自分としては気になります。

医師を選ぶのではなくて、どういう前処置をしているかで医師を選ぶ患者さんも増えて来ました。

電話をかけてきて「先生、錠剤で前処置をして検査をしている病院に紹介して下さい」と。

わざわざ探してさしあげる義理はないので、

「ビジクリア、というお薬だと思います。他に新しい下剤としてはモビプレップというのがあります。電話をかけて、お使いかどうか聞いてみてはどうでしょう」

とアドバイスすることにしています。

こういう電話、前回書きましたが、医者から情報を引き出すのに大失敗している一例です。自ら選択肢をせばめているのですね。

2L飲む下剤で味の点で評判が悪いのはいわゆるPEG製剤なのですが、
(海外ではこういう感じです。イメージ戦略に必死・・・かな?)
味が非常に硬い、と言いますか、飲みにくいのです。

しかし下剤はそれだけではありません。テレビで宣伝している方法以外にも沢山あるのです。

それをどう工夫して飲みやすくし、どの点で妥協しているかは施設によって異なります。
自分が尊敬する先生方は、検査が上手なのは当然で、このあたりのこだわりもすばらしい。
ただ、そういう情報はなかなか皆さんでは得られないと思います。

貴重なリソースとして、日本消化器内視鏡技師会のプログラムがあります。
患者さんのために工夫する熱意、はこうした発表の中にぎゅっと詰まっているのではないでしょうか。私でしたら「無痛x内視鏡」で検索したりしないで、このプログラムを丹念に読んで、「この施設はすばらしい」と思ったところに受診します。

2013/05/06

60歳

大腸がん検診の新ガイドライン(アメリカの)では、

60歳未満で大腸がん罹患の家族(親、子、ないしは兄弟:アメリカではFirst degree relativesと言われ、遺伝子を50%共有している間柄)が一人いる場合、あるいは年齢関わらず二人いる場合・・・・・には40歳、ないしはその家族の罹患年齢から10年さかのぼって最初の大腸内視鏡を受けなさい(その後も5年に一度は内視鏡を受けるなど、念入りなフォロー)。あるいは60歳以上で親兄弟に大腸がんになった家族がいる場合、ないしSecond degree relatives(遺伝子を25%共有している伯父・伯母、祖父母など)に大腸がん患者が二人以上いる場合には50歳時点で一回大腸内視鏡検査を受けなさい(以後は通常通りのフォロー)、という項目が設けられました。複雑ですけれどわかりますか?ひとりだけ大腸がんの親戚(親、兄弟以外)がいる場合には普通のスクリーニングで良いとされています。
(当方の過去の記事→こちら

例:親が55歳で大腸がんと診断された場合、その兄弟、子供は40歳時点で大腸内視鏡を受けるべきである。45歳で親が大腸がんと診断されたら、35歳で大腸内視鏡を受けるべきである。

この大腸がんは進行がんを想定してるのでしょうけれど、早期がんであってもこのガイドライン通りで良いだろうと思います。HNPCC遺伝子を持つ患者さんはかなり多いのです。大腸の早期がんをフォローしていると10年経ってからもう一つ大腸がんが出てくることはざらにあります。やはり60歳未満発症の患者さんです。

60歳の規定があるのは大腸がんのみですけれど、遺伝に関係のある癌として、
大腸以外に、甲状腺、乳腺、卵巣、子宮体部、噴門部、尿管、膀胱などがありまして、
やはり60歳未満発症かどうかは重要なのかもしれません。患者さんの家族歴を聞く際には、
「癌になった方がいるかどうか、そして癌と診断された年齢」
を必ず聞くことにしています。
そして大腸がんと診断された患者さんには、「兄弟が大腸内視鏡を受けているか確認をお願いします」と説明しています。
他のあらゆる癌についてもご兄弟やお子さんのスクリーニングの仕方をアドバイスします。

逆に、やけに癌を心配している患者さんの中には、
80歳の高齢で診断された親の癌にこだわっている方が少なからずおられるため、
「それはおそらく遺伝関係ない」と説明しておりますが、確固たる根拠はありません。

2013/05/02

StarbucksカードとTully'sカード

以前、みなさんが持っておられるおサイフケータイや、SUICA、PASMOなどを鵜川医院の診察券にするというシステムを作りました。もう3年以上前の事です。プログラムを作るのは簡単だったのですが、

いくつかの事情があってお蔵入りしました。
1)市販されているFelicaリーダーは、駅の改札口のリーダーのようにレスポンスが速くない。
2)ご老人には普及していない。
3)「自分のところの診察券を患者さんに持たせることが一種のマーケティングじゃないか、どうしてあえてFelicaで共通化する必要がある?」と医師の皆さんに意見された。

そして未だに鵜川医院の診察券をみなさんにお持ちいただいております。確かに役立つことがありまして、例えば意識不明で病院に運ばれた方が私どもの診察券を持っておられて、問い合わせがある、という事がございます。医療機関の診察券はマーケティング以上のポテンシャルは持っているようです。

ところでコーヒーは胃には悪くありません。コーヒーが胃に悪い、という論文はすべて1983年以前のものです。ピロリ菌の発見以前にはどうも悪役であったと考えますが、現在では逆に癌が少ないのではないか、などと言われます。実際どうかはともかく、胃潰瘍があるからと言ってコーヒーを飲まないでください、というようなことは申しません。調子に応じて召し上がればよろしいのです。

タリーズというコーヒーショップは伊藤園でしたか。スターバックスはシアトル発のコーヒーショップだったと記憶しておりますが、両方にプリペイドカードがあります。

スターバックスカードタリーズカードは少し違うのですが、どちらかというと前者が好きです。なぜかを書きます。

スターバックスカードタリーズプリペイドカード
クレジットカードサイズクレジットカードサイズ
磁気カード/バーコード磁気カード/バーコード
多彩なデザインデザインは1種類
10円単位でチャージ最低1000円からチャージ
自宅でチャージできる自宅でチャージできない
ドリンクの割引はない        ドリンクは1杯10円引き           
現金/クレジットカードでチャージ現金のみチャージ
特典:たまにカードに5000円チャージすると
一杯無料だったりする
オリジナルグッズ
オートチャージ
残高移行が出来る
特典:オリジナルグッズ
両カードとも個人情報は、収集されないと思います。どこかの黄色と青のカードとは違い。
スターバックスカードはプリペイドカード特有の「残高が無駄になる」を極力避けられるように工夫されているのが気に入っています。例えば残高が200円あるときに、あと160円チャージしてドリンクを飲んでチャージを0円に出来る、というところが違います。残高移行も出来る事も併せて多彩なデザインがある、という事が生きてくると思います。あ、良いデザインだな、と思った時にそのカードをパスケースに入れるという別の楽しみがありますから。
ドリンク1杯10円引き、は2%~3%に過ぎない上に、常に中途半端な残高が残るので全く得した感じがしないし、カードのデザインが楽しくないので軍配は完全にスターバックスにあげています。

当院の診察券は最近もう一度Felicaにしたいなと思っているのですが、なにか楽しい工夫があれば、スターバックスカード形式でも良いかもしれないとも思いました。沢山の絵柄を用意して、自由に変更したりできたら楽しいと思います。AppleのPassbookに対応させようかとも思ったのですが、とりあえず面倒なので誰かがやってからにします。