2009/02/21

生理食塩水を作ろう

注意:脱水の治療目的に使用する経口補水液(経口補水塩)を調べよう、と思って間違って開いてしまった方は、こちらのリンクへお進みください。

colon tree.jpg Kunio Ukawa 2008
目や鼻にしみる事がない、体液と同じ濃さの食塩水を「生理食塩水」と言い、便利なので良く我々は医療現場で使います。
例えば傷や身体の中の洗浄に使いますし、脱水になったときの点滴などの中身は生理食塩水です。

実は500ccの生理食塩水のボトルは定価が121円(2010/8/9現在、大塚製薬)しかしません。厳重な管理の元製造されて、偉そうに鎮座ましましている点滴のボトルも、洗浄用のボトルも、みなさんが飲んでいる500ccのペットボトルのジュース、しかもディスカウントストアで買う値段とほぼ同じです。

この生理食塩水は「うがい」ですとか、花粉症で目や鼻を洗いたいときにも便利だし、傷口を洗うにも便利なので作り方を覚えておくと良いです。体液と浸透圧が同じなので刺激が少なく、しみたりしないのです。

用意するものは、500ccのペットボトル(キャップつき)、それから食塩です。アンデスの赤い塩などを使ってももちろん良いのですが、もったいないので安い食塩をお勧めします。

ペットボトルはあらかじめよく洗っておきます。ペットボトルに、キャップ半分~一杯弱の食塩を入れます。これに水道水を入れて良く振り溶かしましょう。ペットボトルのキャップにすりきりいっぱいの塩を入れて重さを測定したところ5gでしたので、一杯弱だと4.5g。それを500ccのお水に溶かすと0.9%の食塩水が出来上がります。この0.9%の食塩水の事を生理食塩水と呼ぶのです。(追記:2010/8/9 実測すると8gであったとのご報告をいただいて私も測定してみました。最近ペットボトルの薄さが変わったなあと思っておりましたら、キャップも変わっておりますね。より薄く、大きくなっているような・・・。十六茶のキャップで測定したところ、ご報告通り8gであり、スクリューが途絶える高さでちょうど5gであるようです。ご報告ありがとうございました

少しだけ鋭い人は「キャップのスクリューの隙間に塩が充填されているのかいないのかわからない状態で重量を測定しているだろうからそれが正確なのだろうか」と思うでしょう。その通りですが、いい加減で良いのです。濃度だって0.8%だろうが、0.85%だろうが0.95%だろうが、それで天地がひっくり返るわけでもないし、厚生労働省に変な書類を出して許可を取るようなものでもないので適当で良いと思います。

作り置きは出来ませんので、必要なときに作ってください。そして体温とほぼ同じ温度にするのが良いです。

お風呂に入るときにペットボトルを浴槽に入れておきますと、良い具合に温まります。これでうがいをしたり目を洗ったりするととても気持ちが良いのでお勧めです。「鼻うがい」も個人的には好きですが、全員にお勧めするものではありません。

女性が顔を洗うときにも生理食塩水で洗えばもっときれいになるのに、と思う事があります。
少なくとも私がエステサロンを開業したら、それを売りにするでしょう。

10 件のコメント:

  1. 情報ありがとうございます。
    病院などで生理食塩水がボトルであるのを見ているせいか高いものだと思っていました。
    さっそく作ってみます。

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    1. 宇都さま
      コメントありがとうございました。
      生理食塩水は便利でいろいろなシーンで役立ちますね。

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  2.  おお。実験で生理的食塩水をつくろー、と思って、念のためググってみたら、このHPがトップですよ!当方、大学院在学中のひよっこ医師です。身内に耳鼻科医もおりますので、キャップ使用のアイディア、および、正確でなくてもいいんです、のコメント、げにげに、とても素敵だなあ、と尊敬いたします。
     私のしている実験も、そこまで正確でなくとも大丈夫な生理学的実験です。
     それでも、始める時には、メスフラスコを使うべきか、などと、悩んだものでした。メスフラスコ洗うのも、かなりタイヘンですし。(あ、今はメスシリンダーを用いています。その中で混和もする!分子生物学的実験ですら、バッファー作成は、それで問題ないそうです。滅菌は必要に応じてしないとですが。)
     ちょっとした工夫が、生活の中に取り込まれるか否かは、それをするときの心理的障壁にもかかっています。はかりを取り出さなきゃー、と思うようでは、患者さんはやって下さらないものですよね。
     

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    1. 匿名様
      コメントありがとうございます。
      読者の方がおられるというのは大変有難いことで、この記事を書いた当時のペットボトルのキャップは塩が6gぐらいしか入らなかったのに、現在の多くのキャップは8g程度入るため、記事にも変更が必要だったのです。それはTwitterで教えていただいたのです。
      私が大学院で勉強したのは20年も昔の事で、トリチウムをびくびくしながら扱ったりしたことを思い出します。当時の勉強(私は免疫をやっていました)は未だに宝ものです。
      患者さんにお話する内容は生理学が基礎になる事が多いので、先生の現在のご研究も一生の宝ものになるはずです。どうぞ先生が良い業績をあげられますよう、お祈り申し上げます。

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    1. 匿名様のご質問は削除させて頂きました。申し訳ありません。医療従事者相当の知識がある方が対象、と左上に書いてございますが、そうでないと説明が大変なのです。
      ご質問についてですが、恐らく匿名様の想像の通りではないかと思います。
      耳管への逆流は避けたいので、正しい方法をどなたかに教えていただくことをお勧めいたします。

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    3. 村田さま

      恐れ入ります。ちなみに、某社の製品はけっこう保存料が入っておりまして、目を洗う某製品は眼科の先生が嫌がります。鼻を洗う某製品に関して初耳でした。

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