2017/04/29

キュレーションメディアの役割はなんだったのか

コンプライアンスに抵触し多くのキュレーションメディアが閉鎖されました。
welqによる粗悪な健康記事に端を発しDeNA関連のキュレーションメディアがすべて閉鎖された報道はお目になった方は多いでしょうけれど、それとは関係ない生活をしておられる方もまた多いでしょう。


インターネット広告を収入源にするビジネスモデルの弊害が直接目に触れた事件として印象的です。粗悪なキュレーション/広告事業はひたすらユーザーにページをめくることを要求するのみです。ユーザーを人間ではなくページをめくる動物だと捉えていると言ってよい。
大手の新聞もやっている事ですが、

 記事を無駄に長くする
 次ページのボタンを押させる
 ソースの意見を捻じ曲げる事を厭わない
 コピー&ペーストを躊躇しない
 広告以外のサイトに直接リンクを張らない


このような特徴を持つ記事が氾濫しています。その原因としてはページの閲覧回数を成果として評価される事、文字当たりの報酬になっていること、スピードが要求される事、ライターの力量がない事、チェックが働かない事、広告以外には絶対に誘導しない意思、などが挙げられます。その背景には、優良なコンテンツがレスポンシブデザインに対応しておらずスマートフォンでは見られない事情があります。(当ブログはレスポンシブデザインですが、アクセスはスマートフォンからのほうが多い)その隙間産業としてキュレーションなるビジネスモデルが生まれたのは当然かもしれません。質は低いのですが。

では逆に、すぐれたキュレーション(ないけど)とはどういうものでしょうか。

 記事は極めて短く、本質を突く(400文字以内)
 直接ソースに飛べる
 ソースのわかりにくい部分を正しく伝える
 完全にライターの頭脳で内容が消化されてから書かれるのでコピペにならない
 ターゲットを完全に意識する*

文字ではないのですが、医療用イラストレーションで有名な医師ネッターさんの仕事が思い出されます。忠実な解剖図ではないのだが、本質を外さず、しかも美麗で、そして何も見ずに書いた、とされています。

優れたライターとして現在評価されているのは発想が豊かな人々であって、それはお笑い芸人とかクリエイターと呼ぶ方が近い。正しい意見は理路整然としすぎていて、あまり人の注目を集めません。メディアはその壁に当たり、収益のためには炎上上等、嘘は必要悪だぐらいに思っている広告代理店の偉い人が多いようですが、彼らの仕事こそAIに置き換えられる可能性を最初に指摘されていたことを忘れてはなりません。

さて医者の仕事は上質なキュレーションの特徴を有しています。小難しい医療を、患者さんひとりひとりにあわせて説明しています。私自身は患者さんすべてに違う言葉で説明をしています。一人の患者さんが理解できるまで3通り5通りの説明の仕方をするのは珍しいことではありません。患者さんそれぞれに響く言葉は違うのです。

優れたコンテンツであっても、例えば小説ならば大ヒットして100万部、日本の人口の1%に満たない人にしか届かないのは人間の多様性を考えるにしょうがないことです。しかし、必ず届いてほしい大切な情報はあるのです。それらを、キュレーションによって100通りの言葉に変化させたらどうでしょう。そうすれば沢山の人々に届くのではないでしょうか。

キュレーションメディアの本来の存在意義はそこにあり、コピペの入る隙はありません。ターゲットを絞りますので炎上させる必要もありません。インターネット広告は水増しなどが横行し、ビジネスモデルの化けの皮が剥がれてきつつあります。その代わりにブロックチェーン技術を利用し「相手にきちんと届いたか」を評価する時代です。読者が少なくても報酬面での問題は大きくないかもしれない。welqはつまづきましたが、有用な情報を、様々な人に、違った表現方法で届ける、そういうメディアが求められている、と思います。

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