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少し家族内発生もありまして、お嬢さんが罹患した後にお父さんが発症し…という事も経験します。
それは置いておいて年間何人も経験する病気です。
■慢性の下痢がある
■血液が混じるようになってきた
■なんだかゼリーのようのものも出る
という症状がある場合、この病気かな?と思って検査をします。
こういう症状が出る他の病気として、
「アメーバ赤痢」…これは日本では性行為感染症であることが多いのですが、海外渡航でも感染するようです。この病気があるときに肛門性交の有無も伺いますが、怒りだすと尚更疑われますから冷静に事実をお答え下さい。セクシャル・パートナーとピンポン感染されると困るのです。
「非特異的大腸炎」…潰瘍性大腸炎と確定できない、程度の軽い直腸の炎症がこう呼ばれることが多いです。
があります。腹痛があるとか、強い症状があったりするとクローン病とかベーチェット病なども考えます。いずれにせよ大腸内視鏡をしてしまえば多くの場合(少数の例外もある)診断は付くのですからあまり深くは考えません。
「アメーバ赤痢」…これは日本では性行為感染症であることが多いのですが、海外渡航でも感染するようです。この病気があるときに肛門性交の有無も伺いますが、怒りだすと尚更疑われますから冷静に事実をお答え下さい。セクシャル・パートナーとピンポン感染されると困るのです。
「非特異的大腸炎」…潰瘍性大腸炎と確定できない、程度の軽い直腸の炎症がこう呼ばれることが多いです。
があります。腹痛があるとか、強い症状があったりするとクローン病とかベーチェット病なども考えます。いずれにせよ大腸内視鏡をしてしまえば多くの場合(少数の例外もある)診断は付くのですからあまり深くは考えません。
でも当院では潰瘍性大腸炎の治療はしないのです。上部消化管が専門だから。ただし緊急でない場合、最初から専門の先生に紹介せずに当院で最初の大腸検査をする場合があります。むろん患者さんには検査をするかどうか伺いますが結局当院で最初の検査を行う場合があります。
<その理由>
- 当院であれば緊急枠に融通を利かせて(時間外労働を私とナースがすれば良い)早く初回の検査が出来るでしょう。(潰瘍性大腸炎を疑わなければ大学と同じぐらい待たされますが)
- 検査を怖がっている方が多いので、とりあえず私は優しいですし、苦痛が少ない当院の検査を経験していただいて悪い先入観を取ることが出来れば良いな、と思うからです。痛く無いということは穿孔も少ないという意味で、炎症の程度がわからない初回の検査では重要なことです。(下剤による前処置を安全に慎重に行うことも大切です)
- 当院で初回の検査を受けて専門の先生にあとで受診するという形にしておけば、当院が患者さんのバックアップが出来るでしょう、将来。
- 私が潰瘍性大腸炎について話すことで患者さんの心理的なショックを多少和らげることが出来るでしょう。
私は上部内視鏡を専門と自称しています。一方大腸検査は岡本平次先生と神長憲宏先生の手技をたくさん見る機会がありました。岡本先生は日本の第一人者だし、神長先生も日本を代表する名手です。お二人の検査は多少違うけれども本質は同じです。私は3年ぐらい見学しておりましたが何年も見続けるというのはずいぶんと贅沢な教育法です。今はハンズオンと言ってすぐに何でもやらせるのですね。しかし実習では慣れはするもののじっくり考えるということをしないので真髄にせまるという事が難しいのではないかと思います。(一方、平均的な医師を作るにはハンズオンは重要です)私は名手の検査をそれこそ千回は見たでしょう。なぜ名手は普通の医者と違うのかという事を論じさせたらうるさいです。患者さんから見たら同じでも、全然違うのですから。
師匠自慢はそこまでにして、「門前の小僧習わぬ経を読む」と言いますが、素人の患者さんから見れば名手と間違われる程度にはごまかして検査が出来るようになりました。だからだまされて患者さんがみえるのです。潰瘍性大腸炎は若い患者さんが多く、今後の人生で何回もこの検査を受けることになります。検査で苦痛があるのはお気の毒だし、しかも最初の検査で心理的なトラウマになっては大変です。ですからたまたま当院にいらしたのであれば、そして幸い緊急性がなければ、今後の治療の良い入り口になれれば良いなと考えて診療にあたっています。
さて検査の結果、潰瘍性大腸炎だとわかったとします。このとき私が話す要旨を以下に書きます。
今すでに職業を持っている人と、これから就職する学生さんでは少し人生のハードルの高さが違うかもしれません。これから就職する場合、他の人よりももっと頑張らないと不利な場合もあるからです。患者さんの学歴にあわせて少しアドバイスをする。また、患者さんにはこれから定期的に病院に通わなければならない事をまず明確に伝えます。(休みの日に外来に・・・と、治療を二番にしてしまうことを危惧します)
病状は人によって違うし、治療に対する反応も違います。しかし治療は日進月歩であって常に新しい治療の恩恵を受けて欲しいために経験豊富な専門の先生、しかも出来れば大学など大きな病院に紹介したほうが良いことを伝えます。むろん個人の先生でいい先生もおられます。個人的にはリスクは分散したいのです。少なくとも医者が病気になった、などと言うことに患者さんを巻き込みたくはないのです。個人に依存する性格の患者さんはしかしやがて大学を去って個人の先生にかかる場合はあります。それはそれで良いのです。
インターネットの検索はSEO対策という方法によって、出鱈目で危険な情報が飛び交っており気をつけるべきという事を伝えます。もしもあなたが不安になることが少しでも書いてあったり、あなたがこれで治るかもなどと思ったりしたら、両方とも書き手には無知ないし悪意があると思って良い。情報の根拠がきちんと書いてあるものにのみ注目すれば良いと説明します。そして分からないことがあればむしろ我々に聞いて欲しいということを述べます。例えば検索の仕方としては、Googleでは「潰瘍性大腸炎 site:ac.jp」と検索条件をつけますと、大学病院が発信する情報のみを受け取ることが出来ます。正しい情報とは例えばこんな論文です。
ところで病因について不思議に思われると思うけれども私はアトピー性皮膚炎と非常に類似した病態であろうという話をしています。実際内視鏡像は悪くなった時のアトピー性皮膚炎と似ているし、ヘルパーT細胞が悪さをするという点で共通しています。また細菌が増悪させるという点でも同様です。劇症型があるという点でも似ています。
患者さんが不安になるだろう情報としては、colitic cancer(あえてリンクは貼りません。まだ早い)の話が避けられないのです。これが潰瘍性大腸炎を語る上での最大のハードルなのだろうと思います。大腸の切除をいずれせねばならないのか。切除したときに性腺機能が保たれるのかなど、悩みは尽きなかろうと思います。しかしそうした選択をすべき時までに、心の成長を遂げ、医師と信頼関係を築いてほしいなと思って最初の説明をするのです。