2009/07/17

食道アカラシア

昨日第9回西神奈川消化器カンファレンスで発表した食道アカラシアです。


まずこの一枚目の写真に意味があります。
私は余裕があれば梨状窩の写真、声帯の写真は必ず撮ります。
しかし撮っていないということは、すばやく検査をしなければと思わせる理由があったに違いありません。
反射はなかったのでそれ以外の理由です。
また、この泡を洗わずに写真を撮っているということは泡を洗える状況ではなかったということ。

すなわち食道に残渣が沢山あるために水で洗えば患者さんが誤嚥をしてしまい危険だと判断したということです。この泡だらけの写真には、「食道残渣があって、粘膜を洗う余裕がなかった」という意志がこめられていると思ってください。食道粘膜の白っぽさには注目しておいてください。


微妙に白っぽい粘膜と共に残渣をとらえた写真です。ここでも注意しているのはなるべく残渣が咽頭に戻ってこないようにスコープをコントロールすることです。誤嚥したら危険ですので吸引できるものは吸引し、無理なものはなるべく吸引せずに押し込むようにしていると思います。重力の関係で残渣は9時の方向に見えます。


胃内に残渣があるのはおかしいのですが、挿入時に食道から落ちたのだと考えています。残渣がありますのでいつものように水で洗浄はせずに観察しています。



噴門です。少し巻きついている感じはします。くるくるスコープを回したときにくっついてくる感覚なのでしょうが、実際にはあまり良く分かりませんでした。


抜去時は残渣が少なくなり余裕があったので空気を入れて拡張した食道を見ています。透視で見ると6cm近くの拡張がありました。
アカラシアは挿入時の残渣と、食道粘膜の白っぽい感じを見て確信を持ちました。以前に同様の所見を見たことがあったので。



<アカラシア・メモランダム>

Symptoms
  • 嚥下困難、悪心、嘔吐、胸焼け、しみる、食道痛、胸骨後方痛、せき、たん、体重減少
Type(X-ray)
  • Sp.(Spindle) / F.(Flask) / S.(Sigmoid)
  • Spindleタイプで発見するにはアカラシアをまず疑うことが大切かもしれません。
Grade
  • I. d<3.5cm / II. 3.5≦d<6cm / III. 6cm≦d
Endoscopic findings
  • 結腸様収縮波、憩室様陥凹、噴門のまきつき現象、めくれこみ
  • しかし、個人的には食道のglycogenic acanthosisおよび残渣も重要所見だと思います。当院ではアカラシアは2例目です。

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