2017/07/05

判断を間違えないための目線

ゲーム理論という概念があります。社会や自然界の主人公は複数いて、その行動における意思決定の影響やお互いの影響を研究する学問です。

難しいことはすっ飛ばしますが、みなさんがこの世の中というゲームを生きている、と仮定します。人生ゲームというボードゲームでも多少は他人の邪魔をしたりは出来ますがかなり違います。現実には邪魔よりは協力のほうが大きな比率を占めていて、そのゲームでなるべく良い状態でプレーするにはどうしたら良いのかを常に考える事がすなわち正しい判断になりやすい、と患者さんには説明しています。

血圧の薬を飲まなければならないときに、「これはずっと一生飲むのですか?」という質問があったりしますが、では一生飲み続けた場合の利益・不利益を考えてみましょう、と計算してみます。

1月に1回の受診があったとして云々
そこで失われる経済的な損失
逆にその受診で偶然命が救われることもあるでしょう
もともと薬を飲むことで期待される健康寿命の伸び
副作用の出現率とその対処にかかる費用や時間
もしもヤブ医者にかかったとしたらこう
うちにかかったとしたらこう

そしてその判断を最適化するには少なくとも1年毎に再評価
あれ?再評価するのであれば、そもそも一生飲む、という前提が崩れますね?

通常、リスクとリターンを考えたときに血圧の治療というのは確実に大きなリターンを得られるわけで、あなたにとって得ですね、ゲームを有利に展開できますね、という結論になることが多いです。

良く私が患者さんに「お薬手帳を必ず持ってきて」とか「受診前に電話して」とか「うちより他の病院のほうが良いので紹介する」というような事をいう理由も同じで、総合的に判断して患者さんが有利にゲームを進めるにはどうしたら良いかを常に考えているからです。

患者さんのわがままやマイルールはゲームにとって有利ではないことがほとんどです。医師はゲームの状況を客観的に見られ、適切に助言できます。決して一人でプレイしているわけではないことを忘れないでほしいと思います。

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