「中性脂肪は変動するのに血圧は変動しないのが不思議だ」という人がいるとしてどういう説明をしますか?というような問題を医者に出題すると面白いと思うんです。
こうした、医者にとって見ればあちこち認識がずれているように見える質問を、どこまでさかのぼって定義して説明し納得してもらうのか、の方法論にその医者の実力と個性が見えるからです。
検査の値の平均や標準偏差の意味、考え方。
中性脂肪の変動に影響を与える無数の要素。
血圧変動がなさすぎる病気の存在。
限られた時間の中で、患者さんが持つやや歪んだ認知をある程度修正しようと試みるのは医者の仕事の真骨頂と言えますけれど、たまに全く自分が予想していなかった答えがそこに転がっている事があります。
例えば中性脂肪が変動するような病気が実際に存在した、というような結論が得られたりして。
ある程度の変動を標準偏差の中にあるから大丈夫だと患者さんを教育するつもりが「本当にそうですね」という結論に至る。
ところがこういう経験は患者さんの将来にとっては邪魔だったりします。検査値の変動に対する歪んだ認知がそのままになり、些細な事を気にしすぎたりする。
ベストな方法は毎回の検査の結果を、検査を行った医師が正しく評価し説明をする、という事です。そうすれば認知のずれの予防が出来るからです。患者の認知のずれをニュートラルに戻すのは内科外来の役割の一つだ、と書きましたけれど、予防も出来るのが良き内科医に求められる技能の一つだ、と思います。
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