もともとやめる気がさらさらない患者さんは別にして、ピロリ菌除菌をする時に禁煙が成功してしまう患者さんが結構います。30%くらいは成功しているように思いますからなかなか優秀です。
ピロリ菌がいる場合、喫煙していると発癌率が非常に高いことが最近明らかになってきたようですが、それ以前から喫煙者で高率に除菌が失敗することがわかっていますので、当院では除菌治療の際にはタバコを絶対に吸わない約束をしていただいています。
そして多少はアドバイスするものの、そのまま禁煙が成功することが多いのには実は理由があるのではないかと最近考えます。
理由1
禁煙をしたときに、便秘で困る場合があるのだが、ピロリ菌除菌中はむしろ便秘しにくいという事実。
理由2
禁煙をしたときに非常に咳が増えるのだが、ピロリ菌除菌中は抗菌剤のおかげでその症状がおさえられるという事実。
もちろんニコチン欠乏によるイライラとか不眠はあるのかもしれませんが、少なくとも便秘と咳という禁煙に伴う二大身体症状は除菌により抑制されるわけで、これが案外簡単に除菌のハードルを超えていく人が多い隠れた理由であるのかもしれません。もちろん「病気を治さなくては」と言う強い決心が禁煙を成功させた第一の理由だと理解しています。
ピロリ菌除去の際にタバコを吸ってしまいました。これで2回目です。あーあ、またお金をどぶに捨ててしまいました。どうしても禁煙することができません。どうしたらよいでしょう?
返信削除匿名さま タバコがやめられない患者さんは私も拝見していますけれど、それぞれに深い理由があるものでして、私はそれに共感してしまうタイプですからなかなかうまく禁煙に誘導できないタイプの医者だと思います。要するに藪医者です。でも長い時間をかけて患者さんをcheer up(盛り上げる、応援する)したり、enchant(魔法をかける)したりするチャンスを伺います。ピロリ菌除菌はenchantのいいチャンスなのです。いつかはきっと禁煙出来ると思いますから陰ながら応援しています。禁煙外来にもやはり優劣があると思います。あれは高度な心理療法です。したがって上手く行かなくて、お金が無駄になったと思っても、将来禁煙が出来て、長生きするつもりであれば、その時に節約出来るだろうお金で回収できてしまいますから、落胆せずにまた禁煙できるチャンスを伺っていれば大丈夫だろうと思います。答えになっていない答えですみません。
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