2016/04/10

理系な「なんとなく」


医療には「なんとなくどういう感じ?」という問いが存在します。
今の気分が良いとか悪いとか、雰囲気で良いのです。
自発的に何を話しはじめるだろうか、と観察するための問いだから。

しかし、頭のいい人ほど答えに詰まってしまう。
その問いに対してどう答えたら良いのか論理的な答えが見つからないから。

少し困った顔をして言葉が出てこない人は、
医療に接し慣れていない、頭が良い、理系の人なのでしょう。
そういう理系の頭の人には、この説明をこう解説するとわかりやすいかもしれない。
と思って非常にIQの高い若い人に説明したら素直に納得してくれたので、意味のない説明でもないと思って書いておくことにしました。

九鬼修造の『情緒の系図』を参考にしますが、
そのうちの「主観的感情」は、「嬉しさ」「悲しさ」であらわされます。
理系が哲学者が書いた本を読んでありがたいと思うのは、第三者とのコミュニケーションに関するいろいろな物事を定義しようと彼らが先に試みてくれている事です。それを利用しない手はない。


主観的かつポジティブな事象(嬉しさで代表される)、あるいはネガティブな事象(悲しさで代表される)は種々あると思うのですが、
例えば「痛み」という感覚は主観的感情に対してネガティブな影響を与えるはずです。

それらを自分なりの相対スコアで構わないから記録して、度数分布表を作ってみる。
頭の良い人の度数分布表は過去数分とか過去1時間、過去1日、過去1週間、過去1ヶ月、1年・・・・・・というようにスケーラブルでありかつ正確であろうと思います。それは通常状態では正規分布に近いのではないか。
天変地異や大きなライフイベントがあった時にはその形は大きく崩れるだろうと思います。

その感覚の度数分布表を頭に思い浮かべて、平均がポジティブなのか、ネガティブなのか。あるいは正規分布に従うのか従わないのか。ぶれが大きく標準偏差が大きいのか、あるいは安定していて小さいのか。



そして医療においては前回その人(たいていは医者やナース)と会って以後の時間の範囲で情緒の度数分布表を作って平均や標準偏差を求め、その答えを「なんとなくどういう感じ?」という問いに対する答えとすれば良いのではないか。あるは初めて会った人ならば、その人と出会った瞬間から、あるいは病気の話題があったとするならばその発端となった時間から今現在までの時間の範囲で同じ作業をすれば良いのではないか。

感情で生きる人、記憶力が膨大でない人は「情緒の時間軸がスケーラブルではない人」なので、そうした漠然とした質問にあまり迷いなく答えるだろうと思います。

しかし理系かつ記憶領域の広い人ほど「いまどう?」と聞かれて困ってしまうのは「情緒の時間軸がスケーラブルなので、その区間を区切ってくれないと値が不定になってしまうから」という理由によると考えます。

情緒が安定した人は情緒の時間軸がスケーラブルかつ非常に長時間にわたるあれこれの感情の平均値を表にあらわしているだけで、彼らの感情が鈍いということではないのだと思います。

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