2013/09/13

ふらつく (dizziness)

「ふらつく」には "vertigo" と "dizziness" とがあり、今回は "dizziness" について。

dizziness は脳内のジャイロセンサーのうち上下方向の加速度を検出するセンサーが実際とは違った信号を送ることにより感ずる違和感の事だと理解している。エレベーターで感ずる感覚に似たようなものだ。

それに最も影響をあたえるのは血圧の変化(微分)であると理解する。

数秒以内の血圧の変化に影響を与えるのは末梢血管の収縮であって、心拍出量の変化よりも変化のスピードが速い。

起立性低血圧として診断されるには臥位から座位にして10mmHg以上の血圧低下、とされるわけだけれど、病的な範疇には入らないのだけれど姿勢の変化に応じて血圧が変化しやすい人々がdizzinessを訴えやすい、という事に決めている。

そしてその変化に与えるパラメーターとして大きいのが筋肉量の低下であると考えている。

特に足の筋肉のポンプ作用は重要であると考えており、足がやせてしまったような人はdizzinessを多く訴える。

ハイヒールを履くと筋肉は緊張するわけだから血圧が安定しやすく、女性がヒールの高い靴を履いてきた、というのはそういった実用的な意味もあるのではないか、と思ったりもする。

むろん、血管の柔軟性の欠如は血圧の微分を大きくしやすくそれもdizzinessの原因にはなるだろうが、それは不可逆的な変化であってそれを議論しても何も生み出さない。「だからこの健康食品を」という事になるのだが、効かないし、それを言うのは「お金を儲けたい人々」に任せることとする。

ところでdizzinessを訴える人には、足を太くするように指導する。

女子高生の時の自分の足を思い出すともっとパンパンに張っていた人がほとんどであるはずだ。足の腱膜はかなり固い組織である。高校時代に作られたその腱膜はストッキングのように足の表面を覆っているけれど、筋肉が落ちたときに柔軟に収縮してくれるわけでは残念ながらないようだ。したがって足の筋肉が落ちてくると筋肉を支える腱膜が余った状態になってその隙間に水がたまったりしやすくなるし、血液の還流が悪いので血圧も変動しやすくなる、と説明している。そこに元のように筋肉を形成してやればむくみも取れるし、ポンプ作用で血液が還流してくるから血圧が安定するのでdizzinessを感じにくくなるだろう。ある程度ヒールの高い靴も効果はあるだろう、と説明する。

具体的には膝のお皿の10cm上の周囲径を測定しておいて、それが増加するようにスクワットやランジの指導をする。プロテインが必要になる場合もある。回数は人それぞれだが、負荷は与えねばならぬ。森光子さん最強説をとなえている。

足だけでなく全身の筋肉があったほうが当然良い。

こうした指導を整形外科の先生方が本気でなさった場合には我々内科は抗ずるすべがなく、仕事の大部分をとられてしまうだろう。

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