2010/10/20

萎縮性胃炎2

萎縮性胃炎とは木村・竹本分類でC-2以上(C-2, C-3, O-1, O-2, O-3)を指します。

特にC-1、C-2、C-3は萎縮をRAC(regular arrangement of collecting venules)の有無で見るのが適当です。若い女性で貧血があり、RACが見えにくいが本当はC-1であるという患者さんの胃を、「萎縮性胃炎」と記載している医師はたくさん居ます。気をつけた方が良いです。血管透見で判断すると間違います。O-1、O-2、O-3になりますと、今度はHP陽性の場合RACはすっかり荒廃してしまっている場合が多いため、襞の有無で判定する方が診断のぶれは少なかろうと思います。空気を入れすぎて全部O-3にしてはなりませんが。

重要な事:C-1とC-2以上には大きな壁がある。C-2とC-3にはある程度壁がある。O-1とO-2にはある程度壁がある。壁というのは発癌率に関してですが、つまりC-3とO-1は混同していてもかまいません。O-2とO-3も混同してかまわない。統計でOpenとClosedにわけるのはC-3とO-1の性質が似ており有意差が出にくいためにお勧めしません。

ついでに「HP陽性の印象」とか「除菌後の印象」という記載も行います。特に患者さんはHP除菌の既往歴を外来では言わない事が多いのですが、内視鏡所見で見ると一目瞭然ですから、「あなたは除菌をいつなさいましたか?」と質問をします。だいたいあっています。微妙だなという場合は確かにありますが、微妙だったら「いる」としておけば大丈夫だと思います。例外は20歳以下の子供とか、PPI投与中、H2RA投与中でしょうか。あるいはNSAIDS投与中とかアルコール多飲、タバコを吸っている場合もだまされることがあります。まあ、それでも肉眼的な判断の方が呼気テストの偽陰性で安心しているよりもはるかに有益だとは思っておりますが。

除菌後のC-2です。RACは見えません。
除菌後のC-2です。胃体中部にはRACが見えてきました。
この小さな発赤は少し判断を迷わせる。
除菌後のC-2です。胃体上部に発赤があってHPの有無が紛らわしい所見です。(この症例はアルコール+)
ここで表層性胃炎と呼ぶとHP陽性の表層性胃炎と紛らわしく、私は病名をつけない。
別の症例。ぎりぎりC-2ぐらいの所見。RACがところどころ破壊。やはり除菌後です。男性はわかりやすい。
RACは破壊されている。これだけでHP陽性と断定できるかというと難しい。
こういう発赤、あと浮腫があると、HP陽性かな?という感じ。C-2かC-3か迷うがその時の雰囲気で決める。
C-2とした。
かなりの発赤がありますね。HP陽性なんだなあという所見。
RACが胃角に見えるからC-1、しかも女性。でもうるさいこというと、Spottyに白い斑点がある。
こういうのは急性胃炎の痕だったり、NSAIDSのびらんの痕だったりもする。
周囲にHP陽性の所見もないし、過去に感染があったようなエピソードもなく、C-1とした。

一見して女性。小さな白いスポットがある。絶対C-1?と言われると困る。
しかし臨床的にはHP陰性を強調したいためにC-1と記載するだろう。
こんな感じで、ひとりひとり臨床と絡め合わせて診断していくけれども、難しいのがNSAIDSによる胃炎後ぐらいで、ピロリ菌感染の影響を除菌前、除菌後に言及しつつ記載するのは木村・竹本分類が圧倒的に便利。

除菌後特有の発赤
何年か経つと徐々に落ち着く

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