2018/06/02

アミラーゼが高いときの説明

アミラーゼが高かったと心配している人がいる。
無駄な心配なので、思考法についてメモする。

健康診断で測定しているアミラーゼは、膵臓、ないしは、唾液腺から分泌されている酵素を血液中に検出したものである。
食事をした時には唾液がよく分泌されるし、膵臓からも膵液が分泌されるので、食後にアミラーゼを測定すると高くなる。
食前であってもチューインガムなどを噛んだあとには高くなる。
もちろん炎症で唾液腺や膵臓に障害が起きたときは高くなる。
アミラーゼは代謝されないで腎臓から尿に排泄されるので、腎臓からの排泄が悪くなるような条件が整った時にはアミラーゼは上昇する。濾過量が少ないときのほか、アミラーゼどうしが結合して二量体、四量体と分子が大きくなると排泄されにくいので血液中のアミラーゼは上昇する。

アミラーゼが高い時にはしたがって、
・炎症などで破壊されたとき
・食後や咀嚼など上昇する因子がある
・腎臓からの排泄が低下する
という状況を考える。

アルコールを飲んでいる人には飲まないようにしてもらい、
水分はたくさん飲んでGFRが低下しないように配慮した上で、
絶食にて採血をすることはその3つを鑑別するかもしれない。
唾液腺型アミラーゼと膵型アミラーゼを測定するのも良いであろう。
尿中アミラーゼも役に立つであろう。(クレアチニンとともに測定)
破壊を見るには超音波で膵臓、唾液腺をみたり、トリプシンなど別の酵素の測定も役に立つかもしれない。いずれにせよ相対的評価の連続となるので、高度な判断が出来る医師の元で行うことが大切である。いたずらにトリプシン測定しましょう、みたいな医療はNGである。

通常、アミラーゼが高い、と心配する人々は、背景に「飲み過ぎ」とか「膵臓がんの知り合いがいる」などなにか引っかかる事がある人々である。
だから、こういうアルゴリズムなどはどうでも良くて患者の背景を聞き出して、そこに潜む問題を解決することを自分は優先している。むろんIgG4をいきなり調べる場合もある。

0 件のコメント:

コメントを投稿