気圧が低い時には身体の調子が悪くなる人が多いのですが、それをどう解釈すれば良いのでしょうか。
単なる酸素不足でしょうか。普段の生活で非常に酸素供給を必要とする部位を持っていて、そこが悲鳴を上げるのでしょうか。
ご存知のように、潜水病の治療には高圧酸素療法が行われます。これは毛細血管で実際に窒素が気化するから起きるわけですが、そこまで行かずとも気圧が下がった時に窒素が気化しそうになる状態、これが不調の原因とはならないだろうか。気化する手前で一対何が起きているのか。
身体のありとあらゆる液体には、酸素や窒素が溶け込んでいます。骨の組織の間質までも。気圧の変化が起きると、それらは緩やかに変化していきます。その分圧の変化が身体に変調を起こすのではなかろうか。窒素分圧の高い間質と窒素分圧の低い血液との間で何か起きるのではないか。NOは非常に血管を広げる作用があることで有名なのですが、血液中でNOが増えるとか減るとかするんじゃないか、感覚的にそんなことを考えてしまいます。
一方で、身体の中の閉鎖腔、例えば乳突洞がそうですが、そこでは低圧でもとからある空気が膨張して不調の原因となりそうですし、副鼻腔が閉鎖している場合にも同様に内部の空気が膨張し、頭痛の原因となったりしそうです。
それらは時に交感神経系に刺激を及ぼすかもしれない。そこでアレルギーや自己免疫疾患など、白血球が関与する疾患は交感神経系の影響を強く受けるので不調の原因になるかもしれない。
また、気圧が下がると外界にも気圧以外の変化が生じます。PM2.5の量は大きく変化するでしょう。これが不調の原因となり得る可能性がある。一方温度や湿度も影響をおよぼす可能性があります。
では、それらの症状を抑えるにはどのようにすべきなのか。
1)酸素:酸素は減圧による影響に対して一定の効果があるだろうと予測します。
2)交感神経系を賦活する:緊張状態は症状を軽くする可能性があるかもしれない。
3)Skins、CW-Xなどのスーツ:これらの圧力は症状を緩和させないか。
4)ネブライザ:副鼻腔、耳管などのトラブルについてはこれを緩和できないか。
5)PM2.5対策:雨の日に雨宿りしている人がタバコを吸うのは周囲への影響も普段以上なのではないか。
「気圧が下がると調子が悪い」はただの都市伝説とは思えません。意図的に順応を計れば大丈夫、という人が多いのは交感神経系が影響するからかもしれません。それを排除して前向き研究をする、というのは非常に難しいため、「減圧室で研究」などというのはナンセンスな話です。かといって、これほど「気圧が下がると調子が悪い」という考えが広がっていればバイアスは避けられない。こうした風説がない国でライフログをとる、という方法しか考えつきません。