2008/10/20

咳エチケットについて

咳エチケットというのは、

「咳をするときには手ではなくてティッシュで口を押さえましょう」
「咳が出る場合マスクをしましょう」
「医療機関では強制的にマスクが渡される場合や隔離される場合があります」

の3段構えとなっています。

素人の皆さんにわかりやすく、

「ばいきんを拡散させないため」

というのが表向きの理由です。

そして、素直な人はそれにしたがいます。

ところが言っても全く実行していない方の言い分は、

「俺は風邪じゃない」

「私は非定型抗酸菌だからうつりませんから」

「私のはタバコのせいだから」

「そもそもウイルスなんか小さいんだからマスクなんて無駄だよ」

「アレルギーだから」

などと言いうものです。

したがって、それを論破するために説明をせざるを得ないのですが、疲れますのでここでマスクをせねばならない理由についてお話します。

1)エチケットの普及のため

ばいきんがなく咳をしている人がマスクをしていないと、「あの人は良いのになぜ私だけ?」という考えに人は陥ります。「赤信号、みんなでわたれば怖くない」という川柳がありますが、まさにその状態です。あの川柳も本当はそういう心理を揶揄して笑い飛ばすものですが、その内容を真実だと思ってしまう人がいるので困ります。作者も苦笑いですね。マスクが必要な人にマスクをしていただくためには、咳をしている全員がマスクをしている必要があります。

2)本当にマスクが必要なので(1)

咳が常に出ている人たちがひとたび感染症にかかると、通常よりもよほど早く拡散が始まってしまいます。その拡散を抑えるためにやはり咳が出ている人は必ずどんな理由であれマスクをすべきです。

3)本当にマスクが必要なので(2)

マスクは人工鼻のような機能があり、吸気の湿度を高めてくれたり、咳の瞬間に気道を陽圧にしてくれたりするなど極めて咳が楽になる重要なデバイスです。
そもそもマスクは咳を楽にするためのものですから、ばいきん云々以前にマスクをするべきです。

4)本当にマスクが必要なので(3)

アレルゲンの進入を防ぎ、温度差が小さくなるので咳が少なくなります。

5)パンデミック対策として

こうしたエチケットが普及していないと将来新インフルエンザのパンデミックが起きた時の医療従事者の死亡率がおそらくかなり違います。したがって院内を含め、外出するときには常にマスクをするという習慣づけをして欲しいのです。

マスクがない方は、ティッシュかハンカチで口を塞いでください。よろしくお願いします。肘でカバーする方法も外国ではポピュラーなようで、日本でもする人が増えてきましたね。
手のひらで口を塞いで咳エチケットのつもりの人がいらっしゃいますが、その手のひらでどこに触るのでしょうか。

2008/10/17

特定健診でエラー出しまくり

9月5日に提出しておいた、特定健診のオンラインデータについて、エラーがあるとのことで返戻がありました。普通、エラーは即時でわかるはずなのですが、そのリストが打ち出された日付が10月2日で、そして郵送されてきたのは本日です。
9月5日に提出した分がエラーになった場合、その代金は支払われずそれが翌月どころか翌々月に持ち越しになると言うことは、支払者にとっては随分得な話です。
しかも、そのエラー内容の詳しいログをくれないのですから、わからないものについては問い合わせねばなりません。


しかし、このような事態に陥っているのは当院だけではないようです。
どうもエラー出力を一気にしているらしく、総頁数は1239頁でした。9月分の神奈川県国保のエラーは最大12390人だったことがわかります。かなりの数のエラーを各医院が出している様子。

■エラーが出ないのは生活機能評価がない場合です。

帰って来たエラーの内訳ですが、
1)返戻コード07 窓口負担金額不備 3件
 1500円の負担金を入力し忘れたもの。一番わかりやすいエラーです。
 ダイナでの窓口負担とあわなかったら警告を出せば良いでしょうか。
2)返戻コード03 検診結果データ異常 33件
 生活機能評価の結果2・・・生活機能評価の結果1が2以外の場合には「未実施」とすべきかどうかがわからないが、これのエラー。
3)返戻コード04 契約対象外 4件+(33件)
 それから生活機能評価で特定高齢者ではないのに、嚥下テストをした例。
 これについては、確か一ヶ月前に「申し訳ないが・・必要ないのだ」という連絡があった。
 特定高齢者かどうかの判定を自動でした方が良いようです。
 生活機能評価問12でBMIが抜けている例。
 これも自動チェックを入れましょう。




これらのエラーのうちいくつかは、確認試験でチェックができます。

来月は県内の請求がもっと増えて10万人を超えるかもしれません。もっと沢山エラーが出るでしょうから、それらをプリントアウトするのに・・・想像するにもぞっとします。

みなさんもこれをみて、確認試験は最低行って、エラーのない請求をするように努めてください。(確認試験は、オンラインレセのように、通ればOKというものではありません。全部の患者さんについて行うべきでした)
がんばりましょう。

2008/10/03

胃底腺ポリープの経過観察戦略

胃底腺ポリープがある場合、ほとんどは背景に萎縮がないために将来胃癌にはならないと言って良いかもしれません。

しかし、βカテニン遺伝子異常がある場合はどうよ、と反論が出ることがあるかもしれません。

胃底腺ポリープは良く観察すると必ず複数個存在しますが、その中にβカテニン遺伝子異常があるのかどうかを見た目から察知することは私には出来ません。おそらくまだ誰にも出来ません。

多発する胃底腺ポリープがある場合、確かにその後胃癌スクリーニングとして内視鏡検査を行う意義というのはかなり低下してしまうのですが、仮にβカテニン遺伝子異常があると仮定した場合にはその患者さんには大腸ポリープが見つかる可能性があるかもしれません。

したがって、胃底腺ポリープがある場合に大腸内視鏡を行うべきかどうかというのは非常に興味深い問題です。

βカテニン遺伝子異常はそれほど稀な遺伝子異常ではない様ですから、大腸内視鏡を行うのも戦略の一つとして考えた方が良いかもしれません。