上部内視鏡

上部内視鏡(いわゆる胃カメラ)の際には

のどを十分に表面麻酔で処置してから行う検査
のどの麻酔と、静脈にベンゾジアゼピンなどの薬を注射して行う検査

があり、後者がいわゆる「楽な内視鏡」と呼ばれていますが、その内容も実にバラエティに富んでいる事は皆さんもご経験の通りです。

昭和の年代には、
1)ブスコパンという胃の動きを止めるお薬を筋肉注射し、その薬でぼーっとしていたのでのどの麻酔のみで十分だった。
2)ほとんどの人がピロリ菌がいたが、ピロリ菌がいる人で萎縮性胃炎がある人たちは、割合のどが敏感でなくて内視鏡が大丈夫だった。ピロリ菌がいないとか十二指腸潰瘍がある人はのどが敏感です。
3)タバコのヘビースモーカーは割合のどが敏感でないのでのどの麻酔だけで受けられた。
4)肥満の割合が少ないので、のどの(ry
5)医者が怖くて患者さんは我慢をした。
6)検査がすごく速くて、3分も耐えれば終わっていた。

というような背景があったでしょう。辛い検査だけれど8割の人はなんとか受けられた。これにより胃癌が見つかるというメリットがありました。一方で当院の院長や、同じ東大分院出身の藤田力也先生のように、鎮静をして検査をする医師もおりました。

さて平成に入ると状況は変化してきます。
1)ブスコパンには色々な副作用があるので使われなくなった。そうするとぼーっとしないし、唾液はたくさん出てくるしで検査が耐えられない人が増えた。
2)半分以上の人にピロリ菌がいないので、のどが敏感だから非常に内視鏡が辛い。
3)タバコを吸っている人の何割かはメンソールタバコで、のどが敏感なのに平気でタバコを吸っているわけですが、そういう人たちは内視鏡が辛い。
4)肥満の人は(ry…しかし肥満の人に麻酔をかけるのは危険を伴い医師にとっても大変です。
5)患者さんの声を聞く医師が多くなってきた。
6)より早期の癌を発見するために検査時間が長くなった。

そういう変化に対応して登場したのが経鼻内視鏡です。
経鼻内視鏡は非常に良いのですが、
1)抗凝固薬を使っている患者さんでは使いにくい。鼻出血が起きた時止めにくいから。
2)鼻腔の狭い女性に不評。
3)キシロカインの量が多くなり、血管収縮薬も使うので高齢者の検査がしにくい。
4)画質がまだ最高ではない。
5)前処置に時間がかかり、期待されたほど沢山の人を検査できない。

というデメリットもあるので市場を支配するには至りません。

一方で鎮静剤を使った内視鏡にもいろいろあるのです。
1)当日車や自転車、オートバイを運転しない事、というポリシーで検査を行っている施設が多い。(どんなに休んで帰っても、判断力が低下する事例が報告されたため)
2)ベンゾジアゼピン系のお薬には数種類あり、それぞれ半減期や効き方が異なる。
3)患者さんによって効き方が多彩なので評判もいろいろである。
4)ほんの少しのお薬を使う方法も、プロポフォールを使って完全に寝かせる方法も、同じ方法として扱われる。
5)患者さんの過剰な期待がある。
6)当院では1%ぐらいの患者さんに頭痛が起きることがある。

それらを総合的に判断して、どのような方法を採用するかは医療機関によりすべて変わるのです。
どこが最高という事はないので、皆さんにとってどこが最高かを選べれば良いのですが、それらを公開する事はほとんどないし、そもそもポリシーは流動的に変化していくため、公開する事はかえってデメリットになるのでしょう。

完璧な方法があるわけではなく、相性があう、あわないが重要ではないかと思います。みなさんには自分にあった医療機関を見つけていただきたいです。

当院で検査を受けられた患者さんには、「○○が△mg、■■が●mg」などと書いたレポートをお渡しして情報を公開しています。これは当院で受けた患者さんが他院で検査を受ける時にその量を参考にしていただきたいためです。

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