なぜ腸内細菌を変えるだけで太ったり痩せたりするのかは以下の仮説で簡単に説明ができます。
- 細菌の産生するエンドトキシンが直接肥満に関与するわけではおそらくない。
- 細菌のエンドトキシンによって、小腸のIEL(Intraepiterial lymphocytes:粘膜内リンパ球)に炎症が起きるのだが、このリンパ球がTNF-α, IL-1, IL-6などのサイトカインを産生する。このサイトカインは門脈経由で肝臓に達しインスリン抵抗性を誘発する。
- このため高インスリン血症が生じ(中略)肥満となる。
ここでいくつか肥満をブーストする事象が発生する。
- 小腸の腸間膜に分布する脂肪細胞はその細胞が他の脂肪細胞とは違いTNF-αを産生する能力があり、肥満を加速する。(いわゆる内蔵型肥満やメタボリック症候群の本質はこれです)
- これとは別にNASHの話だけれど、横浜市立大学から発表されたが、肥満ではレプチンが上昇するがこの高レプチン血症はCD14がKupfer細胞上に増加し、エンドトキシンに過剰反応し肝炎を引き起こす。
家畜に抗生物質を使用するのは家畜を守るためではなくて太らせる効果があるからで、これは腸内細菌叢の変化を利用しているわけだ。
ちなみに血中CRPがなぜ動脈硬化と関連するか。CRPはIL-6と連動して動くので一種のマーカーとして使えるという事だ。
僕は横浜市立大学大学院でTNF-αを研究させていただいたんだけれど、不肖の弟子だったので全く実績を残せなかった。けれども自分が研究していることは真実であって、論文のための実験ではない、という自信だけはあった。市大の先生方には今も感謝している。
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