2013/09/16

構造計算

建物には「構造計算」というものがあります。これを人体に応用してみたい。
本当はパシフィック・リムのイェーガーの計算書を手に入れたいところですが、
デルトロ監督とは友人ではないのでしょうがない。

建物にかかる力としては、
1)固定荷重:これは体重に相当します。
2)積載荷重:体重以外の重量、服や荷物の重さに相当します。
3)積雪荷重:髪の毛の重さみたいなもんですが、私の場合考えなくて良いでしょう。ドラァグクイーンなら計算に入れます。
4)風荷重:人間ならほとんど考えなくて良いでしょう。ボルトのように風と戦う人間ならば別です。
5)地震荷重:ダンサーならば必須項目。
6)その他:土圧や水圧は今回は考えぬこととします。
が考えられます。

しかし人間やイェーガーが建物と違うのは動くことで、
7)動作の速度、慣性モーメント
がさらに加わります。車やクレーン車の強度計算を参考にしたほうが良かったかもしれない。

自分で車検を取るときにはこの強度・剛性測定をしなければならない場合があるので知っていても損ではないかもしれません。(→リンク)車体各部を実際に動かして、その時に生じるわずかなひずみを測定するのです。各部にかかる応力や、その部位の強度がわかります。

さて、同じ質量の短い棒と長い棒とを用意して、それを倒した時の事を考えます。するとその慣性モーメントは長さの二乗に比例します。家の構造計算でも、運動が加わった場合でも、長さや高さは大きな要素で、その長さが長いほど大きな強度や剛性が必要です。人間の場合にも同様で170cm以上の人の方が骨折が起きやすいという論文があるのです。(169cm以上の人の大腿骨頸部骨折のリスクは159cm以下の人の3.16倍 Epidemiology 11, 2: 214-219, 2000)ちなみに成人後に10kg以上の体重増加のある人々は逆のオッズ(0.35)であったとのことでこれも興味を引きました。

さて、骨の強度と剛性はなにで決まるかと考えますと当然骨量だけで決まるものではありません。骨の解剖を考えますと間質の蛋白質とその結びつきの強度も大変に重要です。そして構造そのもの(ハニカム構造であったりしますが)の破たんの有無、中心部と周辺部の密度の差なども関与するでしょう。それを測定するのは骨だけでなく、窒素の密度であったり、そしてもっとも重要なのが実際の剛性の測定です。ある程度の力を加えたときの形態のほんの僅かの変化を測定することでその骨の真の強さが測定できます。

体重の変化も、遺伝も、身長も、体重も測定せずに、誤差の大きな方法(骨密度、と呼ばれるものです)とわずかの血液検査で大雑把に将来を予測するのは構いませんが、それではイェーガーはいつまでたっても建造できないのではありませんか。

骨の中には重力加速度計が存在し、加速度を明確にキャッチし造骨の命令を出します。そのセンサーに明確な指令を与えるための運動療法を処方せねばなりません。また必要なアミノ酸があり、ライフスタイルを把握しつつ適宜指導をせねばなりません。カルシウムの過剰な投与は動脈硬化を促進し有害であることはすでにわかっているので安易なサプリメント服用には警鐘をならす必要があります。患者の身長や体重の変化は重要です。建物は鉄骨だけで作られるものではありません。その他の構造物、筋肉や腱、あるいは運動を命令する小脳、それぞれへ総合的なアプローチをするのが骨折を予防する臨床の未来の姿であろうと考えております。

骨量に注目しすぎるのはその未来を曇らせるから嫌なのです。
海外では木でできた美しい高層建築があり、世界最古の木造高層建築、五重塔が存在する日本にはない。そういう状況になるのが嫌なのです。

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