2010/10/01

自分の常識を疑うべき時

こういう論文があるんですな。

「内視鏡の前には水を飲むべきか、ミルクを飲むべきか」

これを例えば日本の医者に見せてみる。

「あはは連中は何を言ってるんだ。検査の前にミルクだって?」

こういう反応をしてしまう人がいるかもしれません。居たとしたら私は落胆しますよ、という話をレジデントの先生に昨日していた。

当院では昔っから内視鏡の日は水分摂取必須です。水分摂取可、ではなくて必須。

バリウムの検査の時にはバリウムが薄くなる、胃カメラは吸引が出来ないため胃の中に水があると一部撮影できないという理由で飲水不可としていた古き伝統を引きずったまま、未だに内視鏡前に飲水不可という施設があるようです。当院の院長は内視鏡学のパイオニアと言える人物ですが、最初の頃から飲水可としていたそうです。(胃カメラからファイバースコープになったときに、吸引装置がついたため)

飲水不可にしてしまうと、脱水で血液が濃縮するために内視鏡時のいやな合併症である心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇する事がまず懸念されます。それだけにおいても、水分摂取はするべきなのです。他にも種々の理由があります。

世界的には内視鏡前には普通に水分はとっても良いという事になっている。だから「ミルクはどうなの?」という議論が出てくるのです。

したがって、「検査の前に絶飲食が普通」という間違った考えを持っていたりすると、「水?ましてやミルクだって?」とびっくりしてしまい、それでこの論文の存在意義に異議を唱えるかもしれないなと思ったのです。

自分の常識から二段階ずれたことを言う人がいるな?と感じたときには、それは自分の常識が一段階ずれているかもしれない、と疑うべき時だと思います。

当院では内視鏡時には水よりもスポーツドリンクを推奨しています。お茶やウーロン茶は推奨しません。

ところでミルクを飲んだらどうなるでしょうか。正常な胃なら、数時間前に飲んでも実は検査に影響はありません。正常な胃なら、です。つまり、正常でない胃に興味を持っている私はミルクを飲むことは推奨していません。

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