2009/06/22

高齢者には簡単に大腸内視鏡は勧められない

NCI キャンサーブレティン6月12日号の記事より。

もうすぐ邦訳も出ますが内容は、65歳~95歳までの高齢者について、保険診療にて外来で行われた5万例強の大腸内視鏡について解析したもの。5万例というのはかなり少なく、というか少なすぎてデータとしては不安なんですが、その中ですら1000例あたり6.9の合併症があったということ。そして、85歳以上では危険率が2倍以上になるということでした。ここで言う合併症とはおそらく大腸穿孔の事で、かなりの大事です。これ以外に、糖尿病、脳卒中、うっ血性心不全も年齢以外の危険因子であったという事です。

症例数は異常に少ないのですが、この結果は重要です。米国のがん予防特別委員会においても75歳以上の患者さんに安易に大腸内視鏡を勧めない様提言しています。

それぞれの健康状態、今までの大腸検査歴、今後見込まれる余命を加味して一人一人丁寧に大腸内視鏡をすべきかどうか、適応を吟味すべきだと思います。

高齢の患者さんに安易に便潜血検査が行われている事が果たして公衆衛生に寄与しているかどうかも検討されるべき課題だと思います。

18 件のコメント:

  1. 85歳・女性、1週間後に大腸の内視鏡検査を控えています。
    糖尿病、狭心症、認知症、高血圧等の持病があり、ここへきて
    果たして検査が適当なのか迷ってしまい、ネットで検索中に
    こちらのブログを拝見、ご意見を伺いたくなってしまいました。
    見当違いのコメントで申し訳ありません。
    ご迷惑でなければご意見をいただけないでしょうか。

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    1. 85歳でインターネットで検索ができて、このブログに辿り着いて、しかもコメントまで残しておられる匿名様ですから、お元気な事と推察いたします。

      合併症を防ぐための内視鏡の受け方を伝授申し上げます。がんばりましょう。
      1)下剤を飲む時には自宅ではなくて病院で飲んだ方が安全です。先生が恐らくそのように手配して下さっていると思います。
      2)検査中に苦痛があったらきちんと伝えて検査を途中でやめてもらうのも手です。
      3)あと最低10年は長生きするつもりで元気にお過ごし下さい。

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    2. 何日も便が出ない、というような便秘があるときにいきなり下剤を飲むのは危険な場合がありますから、必ず事前の食事など綿密に打ち合わせをしておいて下さい。

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  2. 早速ご返信いただきありがとうございます。
    実は検査を受けるのは要介護4の私の母です。持病がありながらも比較的元気です。ただ、認知症のほうは進んでいて先日のCT等の検査の時も、かなり時間がかかってしまいました。
    担当の医師が『じゃ、検査してみましょ。』と簡単に言ったのが今頃になって気になってしまって・・・。
    検査は麻酔を使うことになっています。
    検査を機に弱ってしまったり、認知症が進んでしまったり、
    検査中に何か起こったりしないか心配で・・・。
    慌ててメールしまして言葉が足りませんで、申し訳ありません
    でした。また、職場のPCですのでお礼の返信も遅くなりお詫び申し上げます。
    ご親切にご返信いただきまして本当にありがとうございます。

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    1. 自分の意志で検査をするかどうか決められない患者さんが意思決定をしなければならないときに、その意思決定をする係の方(この場合はあなた)に多大な負担がかかってしまう日本のシステムは私はあまり好きではありません。判断するための情報が少ないですよね。

      一番合併症が起きるのが、下剤を飲んでいる最中なのです。転倒が一番多いと思います。下剤はゆっくり飲むようにすれば様子を見ながら出来ます。寄り添って差し上げて下さい。弱るとか、認知症が進むということはないので大丈夫です。
      検査中は先生にお任せするしか無いと思います。
      検査後はやはり転倒が多いです。1日ぐらいはいつもより気をつけて差し上げて下さい。

      無事に検査が進みますことをお祈りしております。
      また、体調が悪そうな時には検査を延期する事を躊躇しないことが大切です。

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  3. ご返信ありがとうございます。
    そうなんです、おまかせするしかないのです。
    わかってはいるのですが、無邪気に笑ってい
    る母を見ていると悪いことが起こったらとつい
    考えてしまって・・・。
    お陰様で検査をする決心がつきました。
    当日はお部屋を借りての検査となっています。
    転倒に気をつけたいと思います。
    いろいろととアドバイスありがとうございました。
    また、返信が遅れましたことお詫び申し上げます。

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    1. 「心配するのは医者の仕事」と良く患者さんや患者さんのご家族には申し上げています。我々が「任せて下さい」と言う時にはそういう感情も一時的に医師にお預け下さいという事ですので、そのようにしていただければ、と思います。

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  4. 先日母の大腸検査についてご相談した者です。漸く検査の決心がつき、準備をしておりましたが、本人の体調が悪く検査は中止となりました。
    せっかくアドバイスをいただき、暖かい励ましのお言葉までいただきましたのに・・・。
    体調がもどりましたら折をみて検査をお願いしようと思っております。
    ご親切にしていただき本当にありがとうございました。
    これからもこちらのブログを時々拝見させていただきたいと思っております。
    先生もどうかご自愛ください。

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    1. 匿名様
      ご報告をわざわざありがとうございます。
      大腸検査は勇気ある撤退もひとつの選択肢。
      お母様と匿名様が安らかに毎日をお過ごしになることを祈ります。

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  5. はじめまして。
    高齢者の大腸カメラ検査について調べていたところ、鵜川医院ブログを拝見し、ご意見を伺いたく、コメントした次第です。
    私の父84歳、身長162㎝、体重48㎏(食欲不振で体重減)、腎機能低下(透析1歩手前の状態、脚のむくみがあり浸出液が出ています)、貧血(月1回注射)、糖尿病(薬服用していますが、インスリン注射はしていません)、高血圧(先月から血圧が低く医師判断で薬服用ストップ中)、両足大腿骨手術で人工骨(自宅では歩行器使用、一人歩行は困難)と言う状態です。
    先日、かかりつけの大学病院の腎、高血圧内科で検便検査をし、混血で陽性が出て、消化器科を紹介され受診したところ、一人で動けないので入院して大腸カメラ検査をしてほしいと言われたのですが、大学病院の入院枠が満床で違う病院で受けてほしいと言われ、紹介状を持参し自宅近くの消化器科がある病院をを受診しました。
    すると、父の年齢と持病を考えると、大腸カメラ検査はリスクがあり困難と言われました。また、大腸カメラ検査をして癌が見つかったとしても、今の体の状態では手術するのも難しいとの事。
    今の体調で検査に耐えられるか?、自分は検査を希望しているのか?、今後の人生についてなどを含めて、大腸カメラ検査をする?しないを決めて後日、来るように言われました。
    医師の意見は私も理解できます。しかし、大学病院ではそのようなアドバイスはされず、ただ大腸カメラ検査をするように指示され、複雑な気持ちであります。
    父本人の気持ちが一番なので、父の意見を尊重したいと思っていますが、今、迷っている様子です。
    また、今の父の状態で大腸カメラ検査以外でできる検査はないかと?検索したところ、エコー検査もあるようですか?いかがなのでしょうか?
    ご迷惑でなければ、ご意見をお聞かせいただけないでしょうか?
    お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。

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    1. それは大変なことでしたね。病院と病院とで(あるいは医師と医師とで)哲学が違う場合には患者さんもご家族も、どうしていいのかわからなくなってしまうでしょう。

      私は検査には「治すための手段を探る」検査と、「寿命の見当をつける」検査との2つがあると思っています。前者の場合にはある程度のリスクを覚悟すべきでしょう。後者の場合には安全な検査を選択すべきです。前者には大腸内視鏡検査、CTコロノグラフィーが相当します。後者にはエコーおよび単純CTが相当します。

      患者さんとご家族が、どういうお気持ちで将来を考えてらっしゃるかが最も重要なことでして、その意思を尊重して検査などの予定を組んでいくのが良いのだろうと思います。

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  6. お忙しい中、返信をいただき、ありがとうございます。
    大変参考になります。
    父は『できれば痛くて辛い思いはしたくない。辛い思いをするなら美味しいものを食べて死んだほうがましだ。』とよく言っています。
    父の場合、持病はこれ以上良くなる可能性は無く、悪化していく一方なので、私は『寿命の見当をつける』検査が良いのでは?と思います。
    鵜川医師のアドバイスを参考に、父と家族で話し合いたいと思います。
    親身なアドバイスを本当にありがとうございます。

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  7. はじめまして。私の母の事でお尋ねしたく宜しくお願い致します。昨年、母は直腸脱の腹腔鏡手術前に大腸内視鏡検査をしてS字結腸の所にポリープが見つかった為、すぐに切除手術をして頂きました。その後の直腸脱手術も無事終わり、退院間近と思われた時、腸閉塞になってしまいイレウス管では治らなく開腹手術をしました。それから約1年が経ち、今では直腸脱も腸閉塞も再発なく、排便コントロールもマグミットを服用しながらも順調に行き、出血もなく元気に過ごせておりますが、先日、手術をして頂いた病院でそろそろ1年になるので大腸内視鏡検査を又やっておきましょうと予約を入れられたのですが、昨年検査をして頂いた時には切除したポリープ以外は異常なく癌も無いとの事でした。なので又今年も異常なく過ごせている母に大腸内視鏡検査は必要なのでしょうか?高齢である母に大量の下剤服用や腸閉塞になった後の更に痛みを伴うと聞く内視鏡検査は大丈夫なのかと心配です。今の時点で検査する必要があるのかと疑問に思い、御意見を伺いたく書かせて頂きました。宜しくお願い致します。

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    1. 検査とは治療に対する大切なフィードバックであるという重要な側面を患者さんや患者さんのご家族が理解せずに、「いやなんだけど、ほんとに必要なんですか?」と仰ることはよくある事です。

      ブログで話題にしている検査と異なり匿名様のお母様がお受けになる検査は意味が違うのです。検査を受けて治療の結果がどうなったかをフィードバックする事でようやくすべてが完遂できる、という大切な事をぜひご理解していただき、応援していただきたいというのが私の意見です。

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  8. お忙しい中回答頂きまして有り難うございました。今の母の経過から大腸内視鏡検査は必要であり、素人判断で治ったからと拒否するのはかえって良くないという事ですね。来月の検査は受けさせようと思います。有り難うございました。

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    1. 言葉足らずで申し訳ありませんでした、その通りです。無事に検査が終わることを祈っております。

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  9. 89歳の母のことでご相談です。現在肺がんを患い抗がん剤の治療の成果もあり8年が経過しています。肺がんのほうは小康状態なのですが、今年頭よりCEA数値が上昇していて、4月に行った便検査では潜血が出ましたが、何しろ高齢ということで大腸内視鏡は先送りしてました。9月に入りCEAがぐっと上がり、CTでも大腸の腫れが見えると呼吸器科のドクターからも言われ、消化器科の受診を控えています。内視鏡検査を進められ(もちろん入院しての検査)たのですが、やはり高齢であることを考えると、ほかの検査を(エコー、PET)などをしても結局最終的に内視鏡で直接確認しないと確定しないものなのでしょうか?検査をたくさんしても本人の負担になるだけなので、なるべく少なく、かつ負担の少ない方法で大腸がんかどうかを診断出来ないかと悩んでいます。

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    1. yuさま、診断することが前提になりますと組織が必要なので内視鏡検査は必須になってしまうのです。上の質問のやりとりをご覧いただくとわかりますが、「治す手段をさぐるのか」「寿命の見当をつけるのか」で手段は異なってくると思います。

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