節度をもっている方がほとんどです。
時々盲目的に特定の商品や生活習慣を人に強く勧める(半ば押し付ける)人がいます。それによって利益を得ている関係者ならそうする目的はわかりやすいのですが、利害のない方がこれをしますと、信ぴょう性が高くなりそうです。一方で、利害がないのに盲目的にお勧めするという行為そのものが胡散臭いために、警戒心を呼び起こさせます。
私は内視鏡検査については利害関係者です。少数の検査では赤字になってしまいます。かなりの数の検査数を維持することによって、私は収入を得ることが可能です。したがって、利害関係者である私が患者さんに、「内視鏡を受けて下さい」と申し上げた時に露骨に嫌な顔をする方がいることも不思議ではありません。
一方で利害関係者ではない(内視鏡医でない)お医者さんが「内視鏡を受けなさい」と言った場合には、本当は必要がない検査なのに患者さんは受ける気満々という困った事態も起きてしまいます。これはこれで医療リソースの無駄遣いとなります。
一方で利害関係者ではない(内視鏡医でない)お医者さんが「内視鏡を受けなさい」と言った場合には、本当は必要がない検査なのに患者さんは受ける気満々という困った事態も起きてしまいます。これはこれで医療リソースの無駄遣いとなります。
本来はこうした「利害関係のフィルター」の影響を患者さんが受けることは患者さんに利益があるとは言えません。そのため、医者はそういう利害を超えている存在である、という位置づけを人間社会ではされています。日本以外の国では特にそうです。故意に医者を貶めるような報道が繰り返されるのは日本以外では見たことがありません。アメリカ合衆国では医者は高給取りで、訴訟も多いのですが、それでも聖職として尊重され尊敬されている印象を私は現地で受けたのです。
そんな我が国でも利害を超えた聖職であるという建前はある程度浸透しているようです。医者の意見を尊重して下さる方々は多い、しかしそう考えていない方もいらっしゃいますから、「内視鏡を受けて下さい」がセールストークと思われてもしょうがないのです。これはとてもわかりやすい反応です。実際にセールストークで不必要な検査を勧められた経験があったのかもしれませんし。そこで圧力や権威を用いずに患者さんをどうやって説得するかはまた別の話です。
そんな我が国でも利害を超えた聖職であるという建前はある程度浸透しているようです。医者の意見を尊重して下さる方々は多い、しかしそう考えていない方もいらっしゃいますから、「内視鏡を受けて下さい」がセールストークと思われてもしょうがないのです。これはとてもわかりやすい反応です。実際にセールストークで不必要な検査を勧められた経験があったのかもしれませんし。そこで圧力や権威を用いずに患者さんをどうやって説得するかはまた別の話です。
これらのフィルターを乗り越え、医者の利害に関係なく、患者さんが(金銭的ではない)利益を享受する最も有効な方法は自らが正しい知識を得ることである、というまた別の建前を用意せねばならなくなり苦しいです。それは本当は無理なのに。というのも患者さんが得る医療知識は必ずメタ化(わかりやすく抽象化)された知識だからです。メタ化された知識は、ある確率で起きる例外を意図的に除外していたり、少しの嘘を内包する場合が多いのです。医者ですらメタ化された知識を学ぶ人がほとんどなのは、学習に時間がかかるからです。なるべく私はメタ化されていない生理学や解剖学、生化学などから病態を捉え、正しく理解をしようと務めているのですが、結局はそれをメタ化して皆さんに伝えねばなりません。困ったことに、みなさんに伝えるメタ化された知識は(自分の中で)95%以上は正しいものの、5%以下の確率で間違っている、という事を許容せねばならない。物事は深く勉強し理解しようと努力するほど小さな矛盾や例外(ノイズのようなもの)が生じることがあり、これを圧縮時にそのまま保存することは容易ではないのです。浅く理解してわかったつもりになり、大雑把にメタ化する方がストレスがないのです。
順番が前後したのですがメタ化というのは情報の圧縮なのだ、と考えることが出来ます。TIFFやZIPなどのファイル形式に見られるように可逆圧縮が可能であればそのほうがいい。オリジナルの知識に戻すことが可能であれば、生じる矛盾を最小限に出来るからです。しかし、可逆圧縮での圧縮率には限界があります。現実にはもっと圧縮率の高い不可逆圧縮のほうがより少ない脳の容量に収まりますし、人に伝えるのにも便利です。ですから不可逆圧縮が多用されています。(名言、などと呼ばれるものはほとんどがそれです)しかしオリジナルの知識に戻そうとする場合少しの嘘がまじります。その事を理解している人との会話ほど楽なものはありません。
まとめます。
医療に関しては、感覚として95%以上確信していることを患者さんに伝えていますが、そこには少しの嘘が混じりうる事。その理由はみなさんに伝える情報はメタ化されて圧縮されているからだということ。不利益が生じそうになった時にそれを回避して現状に復帰していくためには患者さん自身の知性や行動力が不可欠であってそれがとても難しいために医療の限界の一つになっているということ。それでも何とか最良の方法を見つけようと努力しております。(そのアプローチの一つがITです)
医療に関しては、感覚として95%以上確信していることを患者さんに伝えていますが、そこには少しの嘘が混じりうる事。その理由はみなさんに伝える情報はメタ化されて圧縮されているからだということ。不利益が生じそうになった時にそれを回避して現状に復帰していくためには患者さん自身の知性や行動力が不可欠であってそれがとても難しいために医療の限界の一つになっているということ。それでも何とか最良の方法を見つけようと努力しております。(そのアプローチの一つがITです)
P.S. 人工知能を実装する場合に、メタ化された知性をどう扱うのかについて、とても興味を持っています。