「内視鏡の写真をインクジェットプリンタで印刷すると黄色から先に無くなっていく」という発言を私がして、思い出した話です。
オリンパスの内視鏡写真は暖色系で、それはファイバースコープ時代には短波長である青や緑はファイバー内で減衰しやすいから、減衰しにくい長波長が強調された画像に我々内視鏡医が慣れており、それに合わせて調整されたものである、という噂を聞いたことがあります。
これに対してFTSの内視鏡写真は寒色系で、それはCCDに入ったそのままの信号でありむしろ本来の色に近いのだとも聞きます。
寒色系であろうが暖色系であろうが我々内視鏡医の眼は、相対的にしか色を捉えないのでホワイトバランスが多少狂おうが関係ないのかも知れません。
その中で、インクジェットで早く無くなってしまう黄色の位置づけは?と思ったのです。
赤や青、は良く色調としては話題になるものの黄色はあまり話題に上ることは少ないけれども、全く無視されるのもかわいそうです。実は私自身は診断時に非常に黄色に頼っていることが多いと思います。
例えばピロリ菌感染粘膜はやや黄色味を帯びることが多い。貧血の患者では発赤が見えないので、代わりにやや黄色味を帯びた病変を探していることがあります。
例えばピロリ菌感染粘膜はやや黄色味を帯びることが多い。貧血の患者では発赤が見えないので、代わりにやや黄色味を帯びた病変を探していることがあります。
以下に示したのは一例で、貧血があり、高度の萎縮粘膜を背景とした、腺腫を疑う病変です。
これは画面右上の黄色味をみて、「あれ?」と気づくわけです。
胃体下部という部分の小弯側に違和感を感じつつ検査をしています。 |
違和感を感じた部分にマゼンダでマークをつけました。 縁は1cmぐらいの幅でやや黄色味のかった褪色で、 中心部はやや発赤調です。 |
NBIでみるとある程度表面の血管が豊富なのか、やや茶色味がかった領域として よりはっきり認めることができます。こういう病変は腺腫であることが多い。 そして中央部は、少しだけ異型が強く高分化腺癌である場合もあります。 予後は良いのだろうと考えます。 |
人間は光の三原色で、対象物を見ています。赤・緑・青です。
黄色というのは赤と緑が混じった色で、恐らく赤を見る、の亜型なのだろうと思います。
内視鏡の所見を読むトレーニングをするときには、発赤、褪色、というのは大変に重要ですが、その次に「淡い黄色み」というのも気にしておくと良いでしょう。