2014/03/04

FDG-PETでの消化管への集積について

18F-FDGという核種を注射すると、ブドウ糖を利用する臓器・組織に取り込まれますのでそれをスキャンするのがPETという検査です。

消化管への集積もそれなりの解釈が成り立つのでメモしておこうと思います。

1)平滑筋へ集積する場合
2)白血球へ集積する場合

胃の場合、ヘリコバクターピロリ胃炎があると集積する場合があり、多くの読影医は「胃体部に集積がありますからヘリコバクター・ピロリのチェックをお願いします」と書くようです。またヘリコバクター胃炎がない場合でも、ヘリコバクター陰性胃癌が複数見つかったと癌研有明から報告があります。これはPETが体部胃炎の指標になることを示しているのではないでしょうか。癌への集積ではなく、背景にある強い炎症がわかる、という事です。体部胃炎は胃癌のリスクになることは過去の論文で示されているのですが、なかなか肉眼での診断が難しい上、全員に複数の生検を行っても点での診断になります。PETはそもそも胃を目的臓器としては見ておらず、ついでにわかる所見ですので有用かもしれません。
ついでといえば、機能性胃腸症の一部はこの集積から胃の蠕動を予測することが可能だと考えます。まるで集積がない場合もそれはそれで所見として考えます。
噴門部への集積はそれが逆流性食道炎を示す場合があります。

というような事があるので、PETを撮るようなドックを受けた人が、文章だけのペラペラの紙だけ持参する場合、「つまらない」というのが正直な感想です。平均して9万円以上のお会計をしているわけですし、数百円のカラープリントのコストはケチケチしないでほしいと思います。

大腸も同様で、憩室がある人では蠕動が強い場合がありますし、その場所を把握しておくことは全く無駄なことではありません。IBS症状のある方ですとか、通りにくい場所がある場合もわかる可能性はあると思います。個人的にはビールの飲み過ぎがわかるんじゃないか、と思っているんですけれどね。

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