保健診療で貴重な医療費を使って大腸の内視鏡検査を繰り返し何度も受けることは関心しませんが、一生に1回か2回、適切な年齢(50~55歳ごろ)で大腸内視鏡検査を受けることは寿命を伸ばします。しかし大腸内視鏡検査は辛いと思い込んで機会を逸する人々が日本にはあまりにも多いのが残念です。医師の技術だけでなく、前処置への工夫、患者のモチベーションすべてが重要な検査です。医療がコンビニ化し、患者のモチベーションが失われてしまったのがこの国の問題です。医療崩壊に備え、50歳以下の方々が医療を受ける意欲だけは失わぬようにと祈ります。このうち前処置の工夫に関してお知らせするのが当記事の主旨です。
岡本平次先生が提唱されていた大腸前処置のM-M法ですが、2014年11月、アメリカの大腸内視鏡検査の前処置としてSplit-Dose法として新たにガイドラインで推奨されました。大腸内視鏡検査のパイオニアである岡本先生の先見の明はさすがです。
論文は
http://www.tcgroup.it/attachfilemail/emailaigo/allegatiarticoli/1866-5683.pdf
前日に半量を、当日に半量を飲む方法です。日本の先生方はこれとは違う工夫できれいな前処置を達成しておられますが、ここまで確実な方法はないだろうと思います。論文は
http://www.tcgroup.it/attachfilemail/emailaigo/allegatiarticoli/1866-5683.pdf
注釈:
岡本平次先生がM-M法(クエン酸マグネシウム2回法)として長年行っていらした大腸前処置法が、Split-dose bowel preparation for colonoscopy としてにわかにこの数週間(2014年11月)アメリカで盛り上がっているのは、それがFDAで認可され「推奨」としてガイドラインに入ったからなのです。楽で、きれいになる、と。特にきれいになる、の部分が評価されています。
岡本先生は明治神宮前でクリニックを開業しておられる。患者さんは全国からいらっしゃる。外国籍の方々も多い。自宅でいかに事故がなく、しかも道中無事でクリニックにいらっしゃるか、そして耐容性がいいか、という事についてこれほどハードな環境もないでしょう。もちろん大腸がきれいになっているかどうか、という重要な点をクリアせねばなりません。進化は必然だったと思うのです。
ところがM-M法の具体的な方法ってなかなか見つからないようなのですね。私も良く人から聞かれます。技師会で発表されているはずなんだけど、と思いましたがおそらくFDA認可というか、薬事が云々なのでしょう。
アメリカでFDAから認可された方法は、
前日モビプレップを240mlx4回15分おきに飲む。(検査の12時間前までに)
寝る前に水分を480ml飲む。
当日モビプレップを240mlx4回15分おきに飲む。
水分を480ml飲む。(検査の2時間前までに)
みたいな感じです。G6PD欠損症の患者さんはPEGで前処置。
PEGの場合は前日2-3L、当日1-2Lです。(日本ではその半量ぐらいで行けると思われ)
等張液を当日の検査前に一気に飲むよりは、時間をずらして飲んだほうが上行結腸がきれいになりやすい、というのはM-M法を経験している先生ならば誰もが納得されるはずで、アメリカで受ける、というのは納得出来る話です。(日本では大腸をきれいにする他の工夫をいっぱいいっぱいしますからそこまでの熱狂はないと思いますが)
PEGの場合は前日2-3L、当日1-2Lです。(日本ではその半量ぐらいで行けると思われ)
等張液を当日の検査前に一気に飲むよりは、時間をずらして飲んだほうが上行結腸がきれいになりやすい、というのはM-M法を経験している先生ならば誰もが納得されるはずで、アメリカで受ける、というのは納得出来る話です。(日本では大腸をきれいにする他の工夫をいっぱいいっぱいしますからそこまでの熱狂はないと思いますが)
M-M法に関するまとめ
~一気に2L飲まなくて良いので患者の耐容性が良い~
~大腸がよりきれいになる~
~補助的に使う前日の下剤による腹痛から患者が開放される~
追記:2016年7月4日にピコプレップが薬事承認されましたけれど、ピコスルファートナトリウムが入っているので、便秘で刺激性下剤で痛くならない方向きです。